裏側矯正に必要不可欠なセットアップモデル

 
セットアップモデル(予測模型)とは患者様に採らせていただいた歯型を元にお作りした石膏模型をバラバラに分割し、綺麗に並べ直した模型のことです。セットアップモデルは治療計画立案時と、矯正装置制作時に必要になりますのでそれぞれの使用目的についてご説明したいと思います。

治療計画を立てる際に使用するセットアップモデルについて

診断用セットアップモデルは治療計画に基づき模型上で歯を並べてみて、しっかりと上下の歯が噛み合うか、歯を抜いて治療をした場合前歯がどれくらい下がるかなどを確認し、治療方針を決定するために用います。例えば、抜歯したものと非抜歯のもの、そして抜歯部位を変えたものと、3種類の模型を作製し、どの治療方針が適切かということを実際に目で見て判断することができます。近年は石膏模型やお口の中をスキャナーでコンピュータに取り込んで、3Dシミュレーションを作製することができますのでより短時間で詳細な診断が可能となっています。
症例画像1 症例画像2
3Dシミュレーション1 3Dシミュレーション2
 

装置作製用のセットアップモデルについて

装置作成用のセットアップモデルは表側の矯正装置に用いることもありますが、表側の矯正治療ではセットアップなしで治療を行うことがほとんどです。裏側矯正治療においてはセットアップモデルなしでは装置をお作りすることはできません。歯の形を裏側からみることはあまりないと思いますが、舌で触ってみると、上の前歯の裏側は表側と違ってかなり凸凹していますよね。この凸凹がみなさん同じ形ならいいのですが、かなり個人差がありますので、ここへ矯正用の装置を付ける場合、既製品だとどうしてもぴったりと歯に沿うようにはいきません。歯の表側は凹凸が少ないため、歯の先端から何ミリというふうに定規のようなもので測りながら装置を付けていくことができるのですが、裏側に同じように装置を付けると、歯の形態によって装置の角度や位置が大きく変わってしまいます。そこで、裏側矯正では理想的な位置に矯正装置を取り付けるためにセットアップモデルを用い、適正な位置に装置やワイヤーが装着されるように、ワイヤーと矯正装置を一つ一つオーダーメイドで作製する必要があるのです。
装置作成用のセットアップモデル1 装置作成用のセットアップモデル2
 
ここまでで診断用と装置作製用のセットアップモデルについてご説明させていただきましたが、これらの2つのセットアップモデルには実は大きな違いがあります。
診断用セットアップモデルが将来予測される歯並びを単純に再現しているのに対し、装置用セットアップモデルは実際の歯並びとは少し違う調整を加えています。矯正歯科治療を行いますと、ワイヤーのたわみによりボーイングエフェクト(副作用)が起こります。特に裏側矯正は前歯が内側に傾きやすいといった副作用が起こり易い傾向にあります。前歯が内側に傾くと見た目が不自然で噛み合わせも不安定になります。また、いったん前歯が内側に傾いてしまいますと元に戻すことが困難となってしまいます。そうならないようにセットアップモデルを作製する際、前歯を少し前に反らせる調整をし、また治療方針によっては小臼歯(前から4、5番目の歯)や犬歯(3番目の歯)が傾く副作用が予測されることもあり、その場合には予測される傾きと逆方向に歯を傾ける調整をします。そういった調整を加えた模型上で矯正装置の位置決めをすることで、矯正歯科治療で必ずといっていいほど発生してしまう副作用を減らすことができるのです。このオーバーコレクション(副作用を打ち消す調整)の量や方法は矯正医の治療経験から決定します。

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