複数の症状があるお子さんの治療(開咬・受け口・八重歯)

お子さんの矯正治療の特徴

■ 第1期治療は骨格型の不正を正しい方向にコントロールする治療です

まず、お子さまの矯正治療、いわゆる第1期治療についてご説明します。第1期治療とは、具体的には、乳歯だけの時期、および乳歯、永久歯のまざった歯列の時期(混合歯列期)のお子さまの矯正治療をさしています。年齢でいえば4歳から11歳ぐらいまでの時期です。

出っ歯(上顎前突)、受け口(下顎前突)、乱杭歯(叢生)、開咬とその症状はさまざまですが、お子様の矯正治療は、基本的に「骨格型の不正をいかに正しい方向にコントロールしていくか」ということです。そして、骨格型の不正を正しい方向にコントロールすることを通して、将来、永久歯列が完成した段階での患者さまのご負担を少しでも軽くできるような処置を考えていくことです。そのために問題点の整理と、「今しておかないと後でお治しが大変になる問題は何か」という、優先順位の設定が重要になります。

開咬・受け口・八重歯があるお子さんの治療例

ここでは、乳歯だけの時期、および乳歯、永久歯のまざった歯列の時期(混合歯列期)での治療「第1期治療」のあと、永久歯が生えそろったあとに歯列を整える典型的なお子様の治療例をご紹介いたします。

STEP1 初診:前歯が噛まない「開咬」で来院

この患者さんは8歳の時点でクリニックにご相談におみえになりました。前歯がきちんと噛んでいないのでおかしい、ということでした。検査の結果、前歯が噛まない(開咬)のは、舌が前に出てくる日常的な「癖」が原因であり、さらに骨格的な受け口の傾向が明らかになりました。また全体に永久歯のサイズが大きく、将来的にはかなりひどい八重歯になることが予測できました。永久歯列が完成する段階まで待って「開咬]と「受け口」と「八重歯」を一度にまとめてお治しすることは、不可能ではありませんが、非常に難しいことです。

顔貌
顔貌
 口腔内写真
口腔内写真
 
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STEP2-1 第1期治療前半:「タングクリブ」で舌の癖を治療

まず最初に、このお子さまにとった第1期の処置は、「癖」に対するアプローチです。タングクリブという器具を上顎の内側にセットし、舌が前に出てこないようにするとともに、舌の動かし方の訓練を開始しました。その結果、上の右のように不完全ながらも前歯が噛み合うようになりました。ここまでで約1年かかっています。

第1期治療前 第1期治療後
 
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STEP2-2 第1期治療後半

次は第1期治療の後半ですが、受け口を可能な限りお治しし、上前歯4本をきれいに並べていく処置です。上の歯列の外側に部分的に装置をセットして治療を続けていきます(約1年間) 。約1年後、第1期としての治療はこれでひとまず終了です。

第1期治療後半の治療前 第1期治療後半の治療中

第1期治療終了
第1期治療終了 
第一期治療終了後。ここでいったん装置をはずし、永久歯が生え揃うのを待ちました。
(約4年間)
 
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STEP3 第2期治療スタート

乳歯期・混合歯列期の第1期治療が終わった4年後。永久歯が生えそろいました。
初の予想どおり、かなりひどい八重歯の状態になっています。また受け口傾向も残っています。おそらく第1期治療がなければ、もっとひどい受け口になっていたであろうと思われます。ここからが第2期の治療となります。この段階では総まとめの矯正として最終的に残ったすべての問題を解決します。


第2期治療前の写真
治療中の顔貌 治療中の口腔内写真
 
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STEP4 第2期治療:抜歯、マルチブラケット装置を使った治療

第2期治療の口腔内写真
永久歯が生えそろったら、第2期の治療となります。この段階では総まとめの矯正として最終的に残ったすべての問題を解決します。
第2期では、4本の永久歯を抜歯しましたが、上下のすべての歯に装置をセットし、きれいに並べていきました。
 
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■ STEP5 第2期治療終了

治療後の写真 

治療後の顔貌 治療後の口腔内写真

上下全ての歯にマルチブラケット矯正装置を装着した治療が終了した段階の写真です。17歳のとき。第2期治療には2年半かかりました。 このように、この患者さんは8歳から17歳まで9年間矯正治療をしたことになります。しかし、そのうち、矯正装置が入っていたのは4年半だけです。途中で装置のまったくない時期が4年半ありました。とても長い時間の流れですが、それぞれの時期で治療目標を明確にして治療を進めているのがおわかりいただけるかと思います。


ここでは典型的な2段階治療の一例をご説明しましたが、第1期の矯正治療ではこのほかにも「ヘッドギア」や「フェイシャルマスク」など、年齢、治療内容に応じてさまざまの矯正器具が使われます。


お子様の矯正治療を考えているお父さん、お母さんへ

子供の時期の短期間に矯正治療をしただけで、理想的な大人の歯ならびが得られるというのであればそれに越したことはありません。実際そういう方もいらっしゃいます。しかし多くの場合、お子さまの不正咬合(悪い歯ならび)は、ある時間がこないと開かないドアのたくさんある家に似ています。無理に治療するよりも、辛抱強く待つしかない時期もありますし、その時期が来たらすみやかに適切な治療に移る、という決断も必要です。  矯正専門ドクターはこのような長いスパンでお子さまのあごの成長と歯ならびの変化をとらえる訓練を受けています。どのような歯ならびであれ、歯並びで気になることがあれば、一度、矯正歯科専門のドクターに気軽に相談してみましょう。

 
坂寄 正美先生
資料提供
フォーラム矯正歯科
院長 : 坂寄 正美先生
公益社団法人 日本矯正歯科学会 認定医・専門医

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