第35回 日本顎咬合学会学術大会・総会 vol.2

顎関節症を再考する

顎関節症診療ガイドライン:その理解のために

顎関節症診療ガイドライン:その理解のために

座長 :
小林 義典 先生
講演者 :
杉崎 正志 先生

講演会場は200席ほど座席があり、講演が始まるころにはほぼ満席でした。顎関節症について、症例を踏まえながら講演されました。

概要は、「咀嚼筋に対するスタビライゼーションスプリントは有効か」「開口障害に対する自己開口訓練、咬合調整は有効か」です。

顎関節症の痛みについて

咀嚼筋に対するスタビライゼーションスプリントは有効かについて一般歯科医師向けにまとめられたものによると、咀嚼筋痛を主訴とする顎関節症患者において、適応症、治療、治療目的、治療による害や負担、他の治療の可能性も含めて十分なインフォームド・コンセントを行うことが出来れば上顎型スタビライゼーションスプリントは使用しても良いが、必ずしも使用をすすめているわけではない。咀嚼筋痛に関しては、マッサージで治る場合が多いとのことでした。

開口障害に対する自己開口訓練は、関節円板のことを患者が十分に理解し、保守的に開口訓練を行い、必ずしも鎮痛剤を使用した方が良いというわけではないと述べられていました。

薬剤の使用方法、薬剤の種類について、また、顎関節症の痛みについては、生体の防衛反応であるので、痛みが出た場合は、顎関節症の痛みが出る行動は、控えたいこと。痛み止めで抑えて、負担になる行動をとると、痛み止めが切れたときに、さらに強い痛みになる可能性があります。顎関節症を有する患者様の咬合調整は、できるだけ行わないことを推奨されていました。

顎関節症の診断の注意点

また顎関節症治療を再考する際、除外、鑑別診断をし、顎関節症と診断するということの大切さについて述べられていました。

  • 神経欠落症状、安静時痛の有無、外傷の既往、現病歴などを確認しすること。
  • TCH(Tooth Contacting Habit : 歯列接触癖)の管理においては、患者様と歯科医師の共同作業で治療すること。
  • 歯が触れていることを自覚してもらうことを知ってもらい、その習慣をやめるようにしていくこと。
  • 患者様の日常生活において、15分以上同じ姿勢でいる、頬杖をつく、枕、睡眠時の姿勢、パソコンを使う仕事であれば正しい姿勢をとっているか、痛みが起こったときのこと、いつ1番痛いかなどをしっかりと話を聞くこと。
  • 思い込みでの診断はしないように気を付ける。

と注意点についても述べられていました。

開口練習に関しては、患者様と治療のゴールを設け機能障害の改善をゴールとすること、終診ではなく自己管理に移行すること…と患者様と一緒に治療していく重要性、顎関節症の原因、診断、診断後の治療法、治療後の管理について講演されました。

その他講演

高齢化する台湾での歯科医療現場~ボランティア活動の立場~

座長 :
河津 寛 先生
講演者 :
鄭 鴻麟 先生

台湾でも高齢化の波があるようです。

村の方へ行くと、歯科医師がいない村もあるようで、そこへボランティアの歯科医師と歯科技工士がチームを組んで、出張したときのことを述べられていました。

村では多くの高齢者が総入れ歯を使用していますが、歯科医師がいないために、物をしっかりと噛める総入れ歯を使用しておらず、咬合状態に問題がある状況だったそうです。

そのため、ボランティアチームの活動は、25名の総入れ歯患者を集めて、歯科医師、新人歯科医師と歯科技工士がグループになり、グループごとに、リベースや義歯調整を行い、リンゴを噛める状態になるまで調整されていました。

村の総入れ歯の方々の表情も笑顔になっていました。

「今後は、歯科医師、歯科技工士、歯科衛生士、口腔衛生教育を普及し、咬合の大切さを伝えることを目標にすれば、食についての機能もより良くなり、今より高齢者は自立できるのではないか。また、村の医師との連携も大切だ。」などと述べられていました。

ポスター発表

ポスター

多くの症例を
知ることが出来ました

ポスター発表は、パネル型で多くの症例が展示されていました。

また、プレゼンテーションの時間も取られ、矯正治療後の歯肉退縮について、ガミースマイルの治療症例、音楽家における口内環境の意識調査、インプラント、ホワイトニングなどと幅広く、各展示者が興味深い発表をしていました。

こういった機会で、悩んでいた患者様への対応など、普段はなかなか触れることができない他院の症例に触れることができました。

ポスター

多くの症例を知ることが出来ました

ポスター発表は、パネル型で多くの症例が展示されていました。

また、プレゼンテーションの時間も取られ、矯正治療後の歯肉退縮について、ガミースマイルの治療症例、音楽家における口内環境の意識調査、インプラント、ホワイトニングなどと幅広く、各展示者が興味深い発表をしていました。

こういった機会で、悩んでいた患者様への対応など、普段はなかなか触れることができない他院の症例に触れることができました。

展示ホール

メディカルネットのブースについて

展示ホールでは、多くの企業の展示や販売が行われていました。新しい製品、気になっていた商品などが展示され、にぎわいがありました。

矯正歯科ネットの姉妹サイトである「インプラントネット」をはじめ、インプラント治療後の保証サービスを提供する「株式会社ガイドデント」もブースを出展致しました。歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士、学生など幅広くお立ち寄りいただきました。また、遠方からいらっしゃる先生方にも多くお会いすることができました。

メディカルのブース
レポート:矯正歯科ネット運営部
※講演の発表内容については、当サイトにおいて必ずしも保証するものではございません。

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レポートvol.1はこちら
http://www.kyousei-shika.net/kyousei_html/inspection/ago_2017/1st.html