東京デンタルショー2017

東京デンタルショー2017東京デンタルショー2017

2017年11月11日(土)、12日(日)の2日間、東京ビッグサイト東2,3ホールにて、東京デンタルショー2017が開催されました。
今回のデンタルショーのテーマは、「東京から発信!最新の歯科医療!!」であり、多くの歯科関係メーカーや商社が出展し、セミナーも開催されました。来場者は、歯科医師5,823人、歯科技工士1,864人、歯科衛生士3,609人、歯科助手・同伴者1,395名、歯科学生2,297人、高校生60人、商工業者4,422人の2日合計19,470名もが集まり賑わいを見せました。

オープニングセレモニー

オープニングセレモニーでは、実行委員長の小越敏氏の挨拶がありました。
今回は歯科医師会主催の保険講習会や、都内の高校生にも呼びかけ、若者が減る中、歯科業界をもっと知ってもらおうとの思いで、学生向けのクイズや学校紹介コーナーや、ヘアメイクコーナーも新設し、診療室で働く女性にちょっと違った自分を発見してもらいたいとお話されました。出展者は最新の機材と情報を伝えることを心掛けて、たくさんの試みが詰まったデンタルショーにしたいと述べられました。

小越氏に続いて歯科医師会、衛生士会、技工士会、歯科商工会の各界代表の方の挨拶があり、壮大なテープカットでデンタルショーが開幕しました。

開催されたセミナーをご紹介

2020年末までに歯科開業医が取り組むべき方向性

【セミナーA会場】
2020年末までに歯科開業医が取り組むべき方向性

講師 :
荒井 昌海 先生

これから2020年までの3年間で取り組むべき学術と経営の課題についてお話されました。人口が減少し高齢化していく現在の日本では、2020年には全人口3分の1が65歳以上になると述べられました。講演者は、2020年までの3年間で何をやるべきなのかという事について、3つ提示しました。

1つ目は、オーラルフレイル(口腔の虚弱化)の予防を強調されました。高齢になると舌の筋力が低下し舌が口蓋につきにくくなり、結果誤嚥が増えてくると述べられました。高齢化が進むにつれ、誤嚥性肺炎の考え方が大事で多職種連携がはじまり、しっかりと知識を身に着け予防していくことが重要になるとお話されました。予防は日々のケアと定期検診、治療後の再発防止のケアの3つに分けられ、講演者の医院では口腔ケアを徹底することにより、誤嚥性肺炎の患者様が減ったと発表されました。

2つ目は、デジタル診療の可能性についてお話されました。CTスキャンでは3次元的なスキャンができるため、これからの時代は、画像診断ではなく内部のあらゆる組織をスキャンするインナースキャナの時代になってくることを動画で説明されました。

3つ目は、スタッフの人員不足が起こる場合を想定したマネジメントの課題について提示されました。診療内の1つの作業工程を動画に撮りリストにすることや、分かりやすく冊子にまとめてマニュアル化すること、また、積極的に仕事に取り組んだスタッフへの評価制度の教育ツールを作ることが大切であると述べられました。

「オーソアップ」による矯正技工のデジタル化/3Dプリンタの可能性

【セミナーD会場】
「オーソアップ」による矯正技工のデジタル化/3Dプリンタの可能性

講師 :
ザビエル・デュレッツ 先生、新美 洋平 先生
協賛企業 :
名南歯科貿易株式会社

フランスのディジステル社代表ジルダス氏が開発した、「オーソアップ」という矯正のアライナー設計のCADソフトウェアについて紹介されました。近年、技工物が次々にデジタルで作る時代になってきていると述べられました。従来の矯正歯科治療では顎模型使用していましたが、オーソアップは患者様の口腔内をスキャンしデータ化し、パソコン上で自動補正してセットアップすると、パソコン上で咬合の当たり具合や歯列移動などを自動でシミュレーションできると説明されました。

また、スキャンしたデータをPDF形式で製作できるため、医院とラボでのコミュニケーションにもなると述べられました。デジタルに置き換えると大幅な時間短縮と材料費の削減ができて生産性が上がるというメリットを述べられました。最新デジタル製品の紹介では、ラボ用スキャナやCAD/CAM、3Dプリンタの可能性と実践についてもお話されました。

う蝕治療ガイドラインが示す根面う蝕への対応

【セミナーB会場】
う蝕治療ガイドラインが示す根面う蝕への対応

講師 :
桃井 保子 先生
協賛企業:
サンスター株式会社

高齢化が進む中、根面う蝕になる人が増加している傾向にあると述べられました。未だに病態が明らかではない根面う蝕は歯冠部とは異なるアプローチが求められていて、どう対応するべきかをお話されました。

根面う蝕は対応が難しく、多くの歯科医師が適切な治療方法を模索している現状にあると述べられました。そんな中、1,100ppm以上のフッ化物配合歯磨剤の使用だけでも、深さが0.5mm未満のう蝕であれば再石灰化できる可能性があると説明されました。欠損の浅い根面う蝕は、まずフッ化物を用いて非侵襲的治療を行い、再石灰化を試みることが推進されると述べられました。フッ化物配合の歯磨剤は、昭和60年のフッ化物の配合率12%から増えて、平成22年では90%と、現在はほとんどの歯磨剤に配合されていると述べられました。そして、2017年の3月よりフッ化物配合濃度の上限が1,500ppmにまで引き上げられ、予防の時代になってきていると説明されました。

最後に、講演者は根面う蝕の一番の治療法というのは早期発見・切削修復ではなく、早期発見・長期管理が重症化を予防すると強調されました。

常に賑わいをみせていた企業ブース

企業ブース企業ブース

企業ブースに、デジタル印象やブロック、マテリアルなどが多く並べられていて、従来の歯科材料が新しくなりより良いものに変化してきているのが見受けられました。また、学生向けのブースも多く、歯科大学や専門学校の案内パネルが展示されていました。私達メディカルネットもブースを出展し、新機能のAI搭載チャットボットのデモや歯科ポータルサイトの説明を行いました。また、メディカルネットグループより発刊した世界的な歯科専門紙「デンタルトリビューン」の日本版を配布しました。(※発刊元:ブランネットワークス株式会社)

レポート:矯正歯科ネット運営部
※講演の発表内容については、当サイトにおいて必ずしも保証するものではございません。