第30回 日本顎咬合学会学術大会・総会

 会場前のイベントスペース 外観
▲ 会場前のイベントスペース ▲ 外観

2012年6月9日(土)・10日(日)の2日間、東京国際フォーラムにて、第30回日本顎咬合学会学術大会・総会が開催され、全国の歯科医師、歯科技工士、歯科衛生士、歯科助手、臨床研修医などの歯科関係者5,132名が参加されました。今回の30周年記念大会も昨年に引き続き東日本大震災復興チャリティーとしての学術大会とされました。

※『日本顎咬合学会』は、咬合について統合的な観点から、臨床の場で患者さんのニーズに応えられる機能を持った国内学会の設立機運が高まり、1979年3月「国際ナソロジー学会アジア部会」を経て、1982年7月、『日本顎咬合学会』として分離独立しました。同学会は、歯科医学・医療に携わる臨床歯科医師をはじめ歯科技工士・歯科衛生士・賛助会員などが集まり、平成23年10月現在、会員数は6,982名です。1983年から毎年1回「学術大会」を開催し、会員の研究成果に発表の場の提供と会員の研鑽の向上を図っています。

会場案内
▲ 会場案内

30周年記念大会のテーマは、『 夢のある未来に向けて -日本顎咬合学会30年からの飛躍- 』です。今回は、非会員の歯科医師の方も参加できるようになりました。プログラムでは、特別講演者として補綴臨床医で著名なFrank Spear先生が米国より来日されました。
下記に、注目を集めたプログラムの一部を簡単にご紹介致します。

■ 注目を集めたプログラム

【特別講演】 A 30 year retrospective on prosthodontic success and failure(歯科補綴の成功と失敗、30年の回顧)

座長: 南 清和 先生(大会会長)
講演者: Frank Spear 先生

講演のテーマを「A 30 year retrospective on prosthodontic success and failure(歯科補綴の成功と失敗、30年の回顧)」とし、前半は「インプラント従来の治療法の比較」、後半は「インプラントと天然歯の関わり」をテーマに、過去30年で手がけた数々の臨床の中から成功と失敗の具体例を挙げながら、失敗と要因について示しました。治療技術の進歩により、治療の選択肢が広がってきているため、歯科医師による「治療の選択・診断力」そして「患者の同意」がより重要になっていることも強調されました。講演の最後には、「失敗はつきものであるが、改善の余地が必ずある。失敗から学ぶことによりさらに進歩していくことができる」という講演者の提言で締めくくられました。

【記念講演】「日本顎咬合学会30年の叡智を学ぶ」

座長: 岩田 健男 先生、普光江 洋先生/講演者:普光江 洋 先生、吉木 邦男 先生、富野 晃 先生、林 崇民 先生、上野 道生 先生

日本顎咬合学会所属の先生6名が、歯科業界の発展に貢献してきた同学会に対する熱い思いと、学会で得た成果、ご経験について学んだことを発表されました。そのうちの1つをご紹介します。

◆ナソロジーとの出会いと衝撃!−咬み合わせの科学は面白い−
講演者:普光江 洋先生

歯軸傾斜について、歯一本一本の傾斜角度を数値で検証した内容をお話されました。咬み合わせについて治療計画を立てる際には、歯軸傾斜を踏まえて考えていかなくてはならないと述べられました。また、日本顎咬合学会の30年を振り返ると、30年前から咬合についての基本概念は変わっておらず、理論や技術を一般診療に活かすための成熟期間だと考えており、今後は、医学との連携も取りながら、脳の生理機能も含めた生理学的バックボーンが必要となってくるだろうとお話されました。

ランチョンセミナー 「Bone Level Implantがもたらす審美領域におけるアドバンテージ」

講演者:中田 光太郎 先生(中田歯科クリニック
協賛:ストローマン・ジャパン株式会社

Bone Level Implantの特徴は、従来のインプラント体より直径が狭くなり、深い埋め入れが可能となったことを述べられました。審美の基準は、人によって違うため、審美的に仕上げるために処置をする段階を一つひとつ決め、どのような症例でもオートマティックにこなせるようにすることが大切であるとお話されました。単独歯欠損はプロトコルが揃っているので、段階を一つひとつ踏んできちんと行うことで、失敗を起こさないべきであり、複数歯欠損はまだプロトコルが分かっていないことが多いことから、Bone Level Implantを使用して失敗を少なくすることを述べられました。「患者」「臨床医」「診療方針」「生体材料」で成り立っているインプラント治療は、患者様が起こすリスク(タバコ・歯周病)ばかりを見がちであるが、残り3つは自分たちの責任になるので、患者様以上に自分がリスクファクターにならないような、発想を持つべきだろうとお話されました。

LivePreparation 審美の真髄をリアルタイムで学ぶ
 「修復治療を成功に導く第一歩を学ぶ支台歯形成及びプロビジョナルレストレーション」

座長: 北原 信也 先生
講演者:土屋 賢司 先生

日本顎咬合学会での初の試みとなる、ライブオペを実施されました。前歯6本を失った患者様の支台歯形成からプロビジョナルレストレーションのリマージング作成過程まで随時質問を受け付けながら、3方向からのカメラを使用し、詳細まで確認ができる方法で行われました。
歯肉圧排のやり方を見たいとのリクエストがあり、器具の持ち方などから動かし方のコツを説明されながら巻きつけていくところを実演されました。スタンダードの支台歯の形態を頭に入れておくこと、プロビジョナルレストレーションを削っている時にはイメージすることが大切であり、いつも良い先生の良い治療、良い技術を見ておくことを述べられました。

【ライブオペを見ての感想】

土屋先生の技術力が高く、簡単にやっているように見えましたが、削る面によって器具を何度も変更して、角度や方向などを細かく調整されていました。先生ご自身もおっしゃっていましたが、プロビジョナルレストレーションを削るときはほとんど感覚で行うそうなので、多くの症例をこなされてきた経験とそれによって得られる知識をコツコツと積み重ねていくことで獲得した技術であると感じました。

審美と機能の調和を考える「複雑な補綴のマネージメント」

座長:脇本 貢 先生
講演者:山ア 長郎 先生(原宿デンタルオフィス

複雑な補綴の症例を複数発表されました。インプラント症例の一つとして、多くの上顎の歯を失ってしまった71歳の男性の症例を解説されました。チタンにハイブリッドを使い、レントゲン撮影から、ノーベルガイド3Dイメージで診断し、サージカルガイドで、インプランを何本埋め入れるか、角度や長さを決定することを述べられました。症例によっては、審美性を意識し、補綴優先で分析することが肝心であることを強調されました。

ランチョンセミナーB「インプラントにおけるCGFの有効性」

座長:吉竹 弘行 先生
講演者:林 揚春 先生(優ビル歯科医院
協賛:株式会社白鵬

インプラント治療にCGF(Concentrated Growth Factor)を使う症例を発表されました。CGFのメリットとして、PRPと違い添加剤を一切使用しない自己血液のみの使用であること、短時間で作製でき、感染のリスクが少ないことが挙げられました。骨移植が嫌で来院された患者様の治療法になると述べられました。また、粘膜に肥厚があり、インプラントをコントロールするのが難しい症例の解説をされ、作製方法から、CGFのメンブレンの使用方法を分かりやすく手順を追って説明されました。最後に、インプラント治療は、いかに侵襲を少なくして患者様の身体の負担を少なくすることが重要であると言及されました。

【展示ホール】
展示ホールでは、当サイトの姉妹サイトである「インプラントネット」もブースを出展致しました。弊社のキャッチコピーは、ICTを活用し、「歯科医療の発展」と「歯の健康と美」を実現する"です。全国各地からいらっしゃった先生方にお会いでき、お声をかけていただきました。

姉妹サイト「インプラントネット」のブース
▲ 姉妹サイト「インプラントネット」のブース
展示ホール
▲ 展示ホール
【スタッフ後記】

今回の学会では、30周年記念大会であり、多くの講演者が30年間を振り返り、歯科臨床の発展を述べられ、これからの未来へ向けた若い先生へのメッセージを強く感じました。
矯正歯科ネットでは、矯正歯科治療がより多くの方に普及することを願うとともに、患者様が納得できる治療を受けるよう、より適切な情報を提供していきたいと思っております。次回、第31回の日本顎咬合学会学術大会・総会もさらなる発展を期待したいと思います。

レポート:矯正歯科ネット運営部

※講演の発表内容については、当サイトにおいて必ずしも保証するものではございません。

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