これからの矯正歯科医療を考える 第71回日本矯正歯科学会大会

アイーナ(いわて県民情報交流センター) 会場入口
▲ アイーナ(いわて県民情報交流センター) ▲ 会場入口

2012年9月26日(水)〜28日(金)の3日間、岩手県盛岡市のマリオス(盛岡市民文化ホール・盛岡地域交流センター)、アイーナ(いわて県民情報交流センター)、盛岡市アイスアリーナにて、第71回日本矯正歯科学会大会が開催されました。今回も、国内のみならず、海外からも多くの歯科医療関係者が集まりました。
参加者数は3,500人(2012年10月2日時点)と、日本矯正歯科学会の会員をはじめ、国内外の研究者や歯科医、歯科衛生士をなど、矯正歯科治療に従事する医療関係者が一同に集まりました。

※ 日本矯正歯科学会とは:歯科矯正学の進歩、発展を図ることを目的として、1926年10月に創立された学術組織です。 >> 詳細はコチラ


メイン会場

今回は、「これからの矯正歯科医療を考える」をメインテーマにマリオス(写真左)を中心に講演が開催されました。これからの矯正歯科医療のあるべき方向性を探ることを目的に、咬合と全身の関係や食育との関連など幅広い視点から捉えた矯正治療に関するプログラムが多く組まれました。その一部をご紹介します。

【特別講演1】 How to Diagnose the Face of Growing Children

子どもの矯正治療において、日本人は歯並びの改善だけを目的に治療を行う傾向にあるが、歯並びに加えて顔貌の良好な発育を誘導する『Orthotropics』の観点から考えることが患者様の要望に応えるためにも必要であると訴えられました。舌や口唇の動きによって発達した筋肉が顔貌を形成することから、幼少期の悪癖(口を開けっ放しにする・頬杖をつく)をトレーニングによって改善させることが、いかに将来の顔貌に影響するか、実際の双子や姉妹の成長していく写真を比べながら、改善できた場合できなかった場合について解説され、『Orthotropics』の重要性を強調されました。

【シンポジウム1】 これからの矯正治療を考える

メインテーマを掲げたこの講演では、「将来戦略としての意義の検証と技法の拡大」「QOL向上をサポートする矯正歯科治療−先天異常患者から学ぶこと−」の2つのテーマで発表がありました。
最初のテーマでは、”乳幼児からお年寄りまで、生涯にわたって健康に過ごすために咬合が大切”であることを前提に、矯正治療を行う上で患者様の要望を再認識することが提案されました。また、3次元情報の有用性、力学解析の必要性について言及し、健康な体を作るための矯正治療のあり方・取り組み方について示されました。
2つ目のテーマでは、奇形、変形をともなった症例を多く紹介し、矯正歯科学について「口腔系の正しい機能を導くことによって、社会的心理的に個人の福祉に寄与すること」と位置づけていました。

【教育講演】 態癖・力のコントロール〜ストマトロジーの観点から矯正臨床をみなおす〜

態癖は「広義の態癖」「狭義の態癖」「それ以外のゆがみ」に分けられ、これらが口腔に関わる歪みの原因となっていることがわかっているが、患者様には認知されておらず、治療を行う際には必ず患者様に伝えておかなければならない、という発表が筒井照子先生(筒井歯科・矯正歯科医院副院長)によって行われました。歪みは後天的なものが大半を占めており、2大態癖といわれる頬杖・睡眠態癖を改善することで、歯列が改善されるケースもあり、まずは、ストマトロジー(口腔医学)として体のメインテナンスをすべきと訴えられました。これによって、医科で治療できなかった患者様の大半が歯科(矯正家)によって改善されることとなるだろうと示唆されました。今までの歯科界には臨床応用が欠けていた点を指摘し、今後は補綴学と生理学の両方の視点から、ストマトロジー(口腔医学)とデンティストリー(歯科修復学)を中心に治療に当たるべきではないかとご自身の考えを熱心にお話されました。

【スタッフ&ドクターセミナー】 歯・口は食育の重要課題解決への入り口―食生態学からの提案

平成17年に制定された「食育基本法」を国民にわかりやすく説明することを目的に、内閣府が平成24年5月31日に「食育ガイド」を公開しました。スタッフ&ドクターセミナーでは、食育ガイド作成に携わられてきた足立己幸先生(女子栄養大学名誉教授)が、食生態学からみた口腔について講演しました。歯を磨く文化がないにも関わらず、虫歯知らずであるトンガの人々の食生活と口腔内の環境について紹介し、良質な食生活によって歯の健康が保たれることを明らかにしました。「日本でもQOL(生活の質)の向上だけではなくQOE(環境の質)との共生も重視して、食を通して歯の健康を守れることを歯科医師、歯科衛生士の皆さんが浸透させてほしい」と願われていました。そのためにもまず、「食育は一生涯」「共食」「生活習慣病」の3点を周知させてから、実行に移していくことが大切と語られました。聴講者のほとんどが歯科衛生士で、貴重な経験談や新たな視点でみる食育の役割・目的について熱心に耳を傾けられていました。


【JOSフォーラム:JOSアドホックセミナー】 アンカースクリュー

・「歯科矯正用アンカースクリューの適応拡大の現状について」など
歯列矯正を目的としたインプラントアンカーが、平成24年7月27日に「歯科矯正用アンカースクリュー」として正式に薬事承認されたことを受けて、申請から承認までの経緯と使用にあたって必読となるガイドラインについて詳細な説明が行われました。また、現在は保険適用外のため、保険適用実現に向けて特定保険医療材料へ申請中であるとの発表がありました。薬事承認されたことによって、今後インプラント矯正を積極的に取り組もうと考えている先生からの質問が活発に行われていました。

・次回の開催について
次回、第72回大会は、2013年10月7日から9日まで、長野県松本市の長野県松本文化会館及び松本市総合体育館で、開催される予定です。


学展風景 【学術・症例展示会場】

学術・症例展示会場(写真右)では、パネルを利用し、日本矯正歯科学会の会員による研究内容や成果の発表の場となっていました。

【専門医新規申請者症例審査・展示/専門医更新用症例審査・展示】

同学会が「矯正歯科医療の水準を維持し向上を図ることにより適切な医療を提供すること」を目的として創設している『専門医制度』を新規に資格取得を目指す先生の症例報告の展示と、5年毎の更新で必須となっている症例報告の展示が同時に行われていました。特に更新をされる先生方の症例報告では、技術や知識の高さが伺える展示となっておりました。


【商社展示会場(アイスアリーナ)】
商業展示会場では、矯正治療に関連ある企業による商品展示が行われました。矯正装置やレントゲン、インプラントアンカーなどの最新歯科機器から、診療室向けのインテリアや歯科グッズまでたくさんの企業が出展していました。
メインの会場からシャトルバスを利用する離れた会場にもかかわらず、たくさんの先生方が足を運ばれ、最新情報収集のため各展示ブースで熱心にお話をされていました。

商社展示会場
▲ 矯正歯科治療の関連企業の展示や販売ブースはいつも賑やか
矯正歯科ネット展示ブース
▲ 矯正歯科ネットも出展しました!

【スタッフ後記】

今回の学会に参加し、矯正治療は数年かかる長期的な治療であるという認識から、一生涯関わってくる治療だという認識に変わりました。先生方の幅広い視点からの発表を拝聴し、今後、現代人が健康な体を維持していくためにも、矯正治療がもっと多くの分野で必要とされるのではないかと感じました。
矯正歯科ネットでも、矯正治療がその場限りの治療では終わらないこと、矯正治療と体の関係など、大きな視点から情報を発信し、患者様が適切な治療を選択できるように、今後も積極的に情報収集するよう努めてまいります。

レポート:矯正歯科ネット運営部

※講演の発表内容については、当サイトにおいて必ずしも保証するものではございません。

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  • MIENAI矯正歯科 三浦和輝先生
  • 渋谷矯正歯科 東海林貴大院長先生
  • 医療法人社団真美会 銀座矯正歯科 深沢真一院長先生
  • 神宮前矯正歯科 斉宮 康寛院長先生
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