矯正歯科医療の潮流と未来への展望 第74回日本矯正歯科学会大会

福岡国際会議場・マリンメッセ福岡(福岡県福岡市博多区) 会議場入口
▲ 福岡国際会議場・マリンメッセ福岡 ▲ 会議場入口

2015年11月18日(水)から20日(金)の3日間、福岡国際会議場・マリンメッセ福岡で「第74回日本矯正歯科学会大会」が開催されました。今年も全国の歯科医師・歯科従事者が一同に集まりました。

※日本矯正歯科学会とは:歯科矯正学の進歩、発展を図ることを目的として、1926年10月に創立された学術組織です。 >> 詳細はコチラ


神宮前矯正歯科、斉宮先生の講演の様子
▲ 神宮前矯正歯科、斉宮先生の講演の様子

下記に、本学会で行われたプログラムの一部を簡単にご紹介致します。

取材1日目(11月19日)
①CT&3Dシミュレーションを活用した臨床への取り組み
(株式会社GC ブースセミナー)

講演者:斉宮康寛先生 (神宮前矯正歯科)

斉宮先生は、矯正の治療方針に欠かせないCTと3Dシミュレーションの活用について講演されました。
CTの必要性については、パノラマX線写真(パントモ)だけだと治療の途中で過剰歯があることに気づかないまま終わってしまうことがあると述べられ、3Dシミュレーションを使用する手順についてを治療レシピとして説明されました。また、i-stationを使ったインプラント矯正(歯科矯正用のアンカースクリューを用いた矯正歯科治療)の症例について発表されました。

②シンポジウム1
テーマ:「東アジアにおける矯正歯科医療の潮流と未来への展望」

「美しい顎をどのように形成するのか」
Dr.Yanheng Zhou, DDS, PhD, Adv DiP Orth, M Orth RCS Edin (President, Chinese Orthodontic Society, Professor and Chairman, Department of Orthodontics, Peking University School of Stomatology)

顔貌の審美性を改善することについて、オトガイがあまりよい状態でない患者様や、ガミースマイルを主訴とした患者様の症例についてなど説明されました。

③シンポジウム2
テーマ:「先端技術の歯科医療への応用と展望」

「デジタル革命がもたらした補綴治療の現状と未来」
講演者:佐藤 博信先生(福岡歯科大学 咬合修復学講座 冠橋義歯学分野 教授)

オールセラミックのような金属を使わない治療が普及しているが、なぜCAD/CAMを使うようになったのか?について、金属のまわりは汚れがつきやすいが、セラミックは汚れが付きにくいことを述べられました。
2006年〜2007年はジルコニアが使われるようになり、2015年米国では60%CAD/CAMを使用している。全歯をジルコニアで作っている症例を紹介し、技工問題があり品質の担保が難しいと述べられ、安全な補てつ物を患者様に提供することを強調されました。

「スキャフォールドフリーバイオ3Dプリンタを用いた器官・臓器作成の試み」
講演者:中山 功一先生(佐賀大学 医学部臓器再生医工学講座 教授)

スキャフォールド(生体材料)から臓器などを作る研究について講演されました。
生体材料は、人工物と比較して感染トラブルが起きにくいというメリットがあるということです。
具体的な取り組みとしましては、隣り合った細胞同士がくっつく性質を利用して、細胞を団子状に集結させ、さらにそれらを臓器などの形に組み上げていくというもので、バイオ3Dプリンタは、剣山のように敷き詰められた柱に、団子状の細胞を指して形造っていくための装置です。
乳歯髄細胞は細胞としての性能が高いということで注目されているとのことでした。

「矯正臨床におけるCBCT, CAD/CAM, ロボット,FEMの応用」
講演者:槇 宏太郎先生(昭和大学 歯学部 歯科矯正学講座 教授)

CBCTによるボリュームデータの利用は既に一般化していることをお話されました。様々な先進技術の応用として、患者様に初診相談の説明を行い、検査・資料採得で分析し診断を行った後、技工し治療するという流れであるが、今後はさらに発展させるべき領域として、治療効果の客観的評価、生体反応性の情報集積、そして改善であると述べられました。


銀座矯正歯科、深沢先生の講演の様子
▲ 銀座矯正歯科、深沢先生の講演の様子
取材2日目(11月20日)
④FLBリンガル矯正装置Type-F 上顎結節用インプラントピエゾサージェリーの使い方(株式会社バイオデント ブースセミナー)
講演者:深沢真一先生 (銀座矯正歯科)

歯科矯正用のアンカースクリューを用いた裏側矯正歯科治療について講演されました。
歯科矯正用のアンカースクリューとロングレバーアームを使用することを前提に治療されるケースにおいては、前歯の歯軸を維持することは難しいことではないと述べられました。
今回紹介されたアンカースクリューについては、埋入にあたっての簡易性や安全性をレントゲン写真などの資料や実際に埋入する動画などを使用してお話しされました。
また、裏側矯正治療においては、ブラケットの種類よりもワイヤーを通す位置が最も重要であり、これによって歯軸の維持やレベリングアライメントの期間をコントロールすることができるということを述べられました。

⑤教育講演
『日本人の集団形成史から現代人の虚弱な顎顔面構造を考える』

馬場 悠男氏(国立科学博物館人類研究部 名誉研究員)

最近の子どもたちは歯並びが悪いのはいつから悪くなったのか、どのような弊害があるかを課題としてあげられました。弊害は歯周病や虫歯になりやすい、よく噛めない、見た目が悪いということを述べられました。また、顎関節症や睡眠時無呼吸症になりやすいとお話されました。現代本土の日本人は、平均すると縄文人30%、渡米系弥生人70%の混血であるらしく、縄文人に学び、硬く大きな食べ物を食べることを喜びと感じる食生活習慣をつけることを対策として講演されました。

⑥JOSフォーラム基調講演
『日本矯正歯科学会ホームページガイドラインと倫理規定の改訂について』

中村 芳樹先生(鶴見大学歯学部歯科矯正学講座 教授)

日本矯正歯科学会では、医療を取り巻く環境の変化に伴い、学会独自のホームページガイドラインを作成し、倫理規定を改定することによって、医療機関の広告運用としての質の向上を図るということだそうです。

具体的には、歯科医師や歯科医院の供給量が需要を上回ってしまったことにより、矯正歯科治療など自由診療における患者獲得競争が激化し、その結果、競争優位性を強調するための誇大な広告表現が増えたことによります。 ガイドラインが適用される範囲も非常に広く、ホームページ、ブログ、SNS、バナー広告や歯科用商業雑誌の広告も含まれるとのことで、医療よりも美容分野としての認知が高まってきたことを危惧されての取り組みとして、厚生労働省と協議のうえ、制定するに至ったということです。

ガイドラインが適用される範囲も非常に広く、ホームページ、ブログ、SNS、バナー広告や歯科用商業雑誌の広告も含まれるとのことです。

講演の中で紹介されたガイドラインの内容としましては、認定医、専門医、指導医などを過度に強調することを控えるということ。
学術用語外の誤解を招きやすい表現は学術用語と併記するということ。
 例)インプラント矯正(歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正歯科治療)
学術的に不適切と思われる治療法や説明、用語は掲載すべきではないこと。
 例)ブライダル矯正、スピード矯正、プチ矯正
商品名を掲載する際は、学術用語や一般名称を併記するということ。
 例)インビザライン(マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置)
また、医療広告ガイドラインに準拠した、「100%」「絶対」「確実」などの根拠を伴わない誇大表現や、「定価各」「キャンペーン」といった、治療費についての表現も使用するべきではないとのことでした。

ガイドラインは法的に制限のあるものではないため、これらの実効性を担保するために、同時に倫理規定の改定を行うということです。
倫理規定は、学会員が守らなくてはならないルールということで、事実上、法律より上位に位置する決まりということになるそうです。

私たち、ポータルサイトの運営やホームページ制作に携わる者としても、医療広告の目的や役割について、改めて考えさせられる内容でした。


・次回の開催について
第75回大会は、平成28年11月7日(月)〜9日(水)にアスティとくしまで開催される予定です。


【学術・症例展示、商社展示】

学術・症例展示、商社展示はマリンメッセ福岡で行われました。日本矯正歯科学会の会員による研究内容・症例報告がパネルに展示されていました。先生方の臨床、研究の成果の発表の場となっており、多くの先生方が展示を見学されていました。

学術・症例展示・商社展示場所
▲ 学術・症例展示・商社展示場所

商業展示会場では、矯正治療の関連企業による商品展示が行われました。矯正装置やレントゲン、インプラントアンカーなどの最新歯科機器から歯科グッズまでたくさんの企業が出展していました。最新情報収集のため各展示ブースで熱心にお話をされている姿が多く見られました。

昨年に引き続き、矯正歯科ネットもブース出展し、九州地方の先生を始め多くの先生方にお立ち寄りいただきました。

矯正治療の関連企業商品展示ブース
▲ 矯正治療の関連企業商品展示ブース
矯正歯科ネット出展ブース
▲ 矯正歯科ネット出展ブース

【スタッフ後記】

今回の学会では、「矯正歯科医療の潮流と未来への展望」をメインテーマに講演が開催されました。日本矯正歯科学会の倫理規定の改定に伴い、ホームページガイドラインの見直しを訴えられたことがとても印象的でした。
矯正歯科ネットでは、矯正治療の正しい知識と新しい情報を常に発信し、患者様が納得して治療を受けられるように積極的に努めて参ります。

レポート:矯正歯科ネット運営部

※講演の発表内容については、当サイトにおいて必ずしも保証するものではございません。

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  • MIENAI矯正歯科 三浦和輝先生
  • 渋谷矯正歯科 東海林貴大院長先生
  • 医療法人社団真美会 銀座矯正歯科 深沢真一院長先生
  • 神宮前矯正歯科 斉宮 康寛院長先生
  • アイ矯正歯科クリニック 福井 一美院長先生
  • 横浜駅前歯科・矯正歯科 湊寛明先生
  • 日本橋はやし矯正歯科 林一夫院長先生
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