最近、出っ歯になってきたんです

病的歯牙移動(びょうてきしがいどう)について紹介しています。もともと問題のなかった歯並びだったはずなのに前歯が出っ歯になってきたなど、お口の中になんらかの問題を起こすことが原因で後天的に歯が移動してしまうことを「病的歯牙移動」といいます。

公開日:2019/10/01  更新日:2021/09/08

目次

  1. 最近、前歯が出っ歯になってきたんです
  2. 治療前の状態
  3. 病的原因による歯の移動
  4. 最近、出っ歯になったのは・・・
  5. 歯周病が進行している歯の矯正治療例

最近、前歯が出っ歯になってきたんです

最近毎日口紅をぬる時に、前歯がどんどん前に出てきたように感じるんです。昔の写真と比べてみて下さい。こんなに「出っ歯」ではないですよね。できればというより、ぜひ出っ歯を元に戻したいのですが、歯周病もかなり進行していますし、こんな状態でも矯正できますか?やっぱり子供がしているような矯正の装置をつけるのでしょうか?

Dさん(50歳/女性)

治療前の状態

病的原因による歯の移動

もともと問題のなかった歯並びなのにお口の中になんらかの問題を起こし、それが原因で後天的に歯が移動してしまうことを「病的歯牙移動」といいます。そもそもこのような移動を引き起こした原因は、前歯部ではなくて臼歯部にあるようです。

原因は前歯部ではなく臼歯部

このような患者さんの臼歯部はどの歯も前歯に向かって倒れており、全体的に歯周病によって顎の骨が破壊されてしまっています。

最近、出っ歯になったのは・・・

ヒトの咬む力の一部は臼歯から前歯の方向を向きます。上の図のように臼歯が前の方に倒れて、噛み合わせが低くなると、下の前歯は上の前歯を突き上げることになるので、結果的に上の前歯が張り出してしまうのです。これをフレアーアウトといいます。また、このとき臼歯が押す力によって下の前歯の歯並びが乱食い状態になったり、上に出てきてしまいます。

Dさんが、 「出っ歯」になったと感じたのは、直接的に下の前歯が上の前歯を突き上げてフレアーアウトの状態になっているからです。このようなケースではすこし時間がかかりますが、臼歯のあった部分で咬めるようにして、矯正器具を装着し矯正治療を行うことになります。

歯周病が進行している歯の矯正治療例

しかし、適切な感染コントロールのもとであれば、顎の骨がやせてしまっている状態でも矯正力による歯の移動は可能です。