歯列矯正の仕組み 歯が動くときの歯周組織の変化について

矯正治療で歯を動かすとき、体の中ではどのような事が起きているのでしょうか?矯正時の歯の動くメカニズムについて分かりやすい図とともに説明します。「矯正歯科ネットは矯正に関する情報を発信しているポータルサイトです。」

公開日:2019/11/01  更新日:2021/11/17

記事提供

■目次

  1. 組織学から考える「歯列矯正の仕組み」
  2. 歯に矯正力がかかった時の歯の組織の変化
  3. 矯正治療の治療期間が長い理由

組織学から考える「歯列矯正の仕組み」

矯正治療で歯を動かすとき、体の中ではどのような事が起きているのでしょうか?
はじめに歯の周りの組織について説明します。

歯は顎の骨(歯槽骨[しそうこつ])から生えています。
歯の根の部分(歯根[しこん])と歯槽骨の間には歯根膜[しこんまく]とよばれる繊維状の組織が存在します。
この歯根膜は、物を咬んだ時にその硬さなどを感知する圧力センサーとしての機能も持っており、咬む強さ等を自動的にコントロールする大事な役目を果たしています。

歯に矯正力がかかった時の歯の組織の変化

歯に矯正力がかかった時の歯の組織の変化

上のイラストは歯が動く時の組織の変化を説明したものです。

歯に矯正力が加わると片側の歯根膜は伸び、反対側の歯根膜は圧縮されます。そうすると歯槽骨の表面に変化が起きます。
伸びた歯根膜の先の歯槽骨面上では骨芽細胞と呼ばれる骨の元になる細胞が現れ、 歯槽骨を新しく造っていきます。
圧縮された歯根膜の歯槽骨面上では破骨細胞と呼ばれる骨を溶かす細胞が現れ 歯槽骨を吸収していきます。

矯正治療の治療期間が長い理由

骨形成と骨吸収による変化は自然の状態でも成長に伴っておこなわれています。
骨吸収により古くなった骨が壊れる一方で新しく骨が作られる骨形成を繰り返して新陳代謝を行っています。矯正治療はこの作用を活かしたもので、歯に矯正力をかけることにより部分的に変化を与えて骨形成と骨吸収を起こして徐々に歯槽骨の中の歯を移動させるものです。

歯を動かすには適正な矯正力というものがあるため、強い力をかけたから歯が早く動くというものではありません。 強い力がかかると歯根膜に変性組織が生じたり、歯槽骨が溶ける「歯根吸収」をおこすといった障害がおきることがあります。
患者様の中には早く動かしてほしいと希望される方もいらっしゃいますが、上記にご説明したことをお話し、ご理解をいただいております。
適正な力で組織変化をおこして歯を動かしていくことが望ましいのです。

【PR】フィリップス ソニッケアー
歯科専門家使用率NO.1

フィリップス・ジャパン

あわせて読みたい記事

メディア運用会社について

メディカルネット

株式会社メディカルネット(東証グロース上場)は、より良い歯科医療環境の実現を目指し、インターネットを活用したサービスの提供にとどまらず、歯科医療を取り巻く全ての需要に対して課題解決を行っています。

当サイト「矯正歯科ネット」を通して生活者に有益な医療情報を歯科治療の「理解」と「普及」をテーマに、自分に最適な歯科医院についての情報や、歯の基礎知識、矯正歯科などの専門治療の説明など、生活者にとって有益な情報の提供を目指しています。

矯正歯科歯科医院を探すなら「矯正歯科ネット」

矯正歯科治療を行なっている歯科医院を、全国から簡単に検索できます。お近くの矯正歯科歯科医院をお探しの場合にもぜひご活用ください。