治療中の応急処置


矯正治療を円滑に進めていく上で、装置のトラブル・痛み・食事の取り方・会話・ブラッシングなど、様々な問題に対処する必要があります。矯正治療中に起こりうるトラブルについての解決方法をご紹介します。

ブラケットが外れたら…

◆前歯のブラケットが外れた場合
金具(ブラケット)が外れてしまったら、ブラケットとワイヤーをワックスで固定して下さい。(右の写真参照)
金具は捨てずに診療室までお持ち下さい。
◆奥歯のブラケットが外れた場合
前歯に比べて、奥歯の金具が外れた時の方が粘膜への刺激が強いようです。
奥歯の処置方法は、ワイヤーの種類によって異なります。
右図の黄色い丸印は、ワイヤーが抜けないように尻尾の部分を折り曲げています。
◇柔らかいワイヤーを使用している場合
初期治療で用いるワイヤーは比較的柔らかく、奥歯の金具から出た尻尾の先を折り曲げて歯に固定しています。したがってワイヤーから金具を除去しやすい反面、食事中にワイヤーが暴れたりします。
◇硬いワイヤーを使用している場合
硬いワイヤー(ステンレススチィール)は結紮線によって結ばれているため、粘膜が刺激を受けても外すことができません。患者さんによっては自分でワイヤーを曲げて修正しているうちに折れてしまい来院することがあります。
痛みがなければ、ワックスを金具全体に被せて様子をみましょう。変形したワイヤーが粘膜を傷つける様ならば、ニッパーで切断することもできます。
注意点として、切断するワイヤーを指で持ってカットして下さい。持たずにカットするとワイヤーが口の中で刺さる危険性があります。

上記のケースはすぐにかかりつけの矯正歯科医院へ電話しましょう。

ワイヤーが外れたら

奥歯のワイヤーが抜けてしまったら、金具の穴に差し込むことができるか確認して下さい。
黄色い四角は、金具の溝にワイヤーが正しくおさまっている状態です。
緑色の丸印は、四角い水道管の入口みたいな所にワイヤーを挿入することによって金具に固定されています。
金具の穴に差し込むことが出来ない場合は、矯正用ワックスで金具に固定をします。
奥歯以外のワイヤーが金具の溝から外れたら、同じところにおさまるか確認して下さい。そして、ワックスで固定しても良いでしょう。

リガチャーワイヤーが突き出たら…

右図に示す様に、ワイヤーと金具を結んだ細い線(リガチャーワイヤーあるいは結紮線)が外側に飛出したりすると、口の中の粘膜が傷つくことがあります。

対処法として、下図の様に、ようじや割りばしなどで飛出した線を歯面に向かってワイヤーの内側に押し込んでみて下さい。
  

口内炎が出来たら…

口内炎は、歯面に接着した金具の刺激により生じる場合があります。特に治療の初期の段階で発生する場合が多く、稀に治療の最終段階でみかける時もあります。症状として、食物刺激に敏感となり、接触痛が認められますが、1週間ないし10日ぐらいで治癒するでしょう。
塗り薬としてデキサルチン軟膏・ケナログ軟膏・アフタッチ錠・アズノールSTなどがありますが、口腔内では薬剤が流れやすく効果が不安定なのが欠点です。
金具の対処法として、ワックスを接触痛の認められる金具の上から被せるように付けて下さい。

粘液のう胞

粘液のう胞は、排泄管の癒着、閉鎖により生じた半球状の柔軟な膨隆を示し、痛みはありません。やや不快感がある程度で、炎症症状はみられません。
矯正治療中に生じた例として、管楽器(サックス・トランペットなど)の演奏者の下唇にできた事がありました。これはマウスピースと口唇に圧が加わることによって排泄管が損傷し、腫れてきたと考えられます。
対処法として、前歯の金具を軟性レジン(ワックスでは弱い)で被う必要があります。フルート奏者には問題が起きませんでした。

痛み

痛みは、ワイヤーを交換したり、調節した後に生じます。対処法として、コップ一杯のお湯に小さじ一杯の塩を溶かしたら、20秒位かけて口をすすぎます。通常、痛みは3〜4日で治ります。
成人では、鎮痛剤(イブプロフェンなど)を用いる場合があります。

一般的に痛みを強く感じる時期は、治療開始から3ヶ月前後であり、装置に慣れてくるに従って痛みの感じ方も弱くなります。

歯肉が腫れたら…

ブラッシングの不十分により、金具と歯肉の間にできるプラークや歯石などの沈着物が原因で起こる歯肉の炎症が歯肉の腫れの原因です。

炎症が進行した場合、麻酔下による歯石除去も考えられ、治療を一時的に中止(ワイヤーの除去など)することもあります。

またプラークによって、エナメル質の表面が脱灰され金具が外れやすくなります。日頃のブラッシングケアが重要です。

話し方が不安定・うまく喋ることが出来ない

治療開始から2ないし4週間は発音障害が生じる可能性があります。特に裏側に装着した装置が舌を刺激するため発音が不明瞭となります。しかし、この様な刺激も一時的なもので、ワックスを刺激の原因となる部位に使うことでかなり減少します。装置に慣れてきたらワックスの量を減らしましょう。

食事で何を食べたらいいのか迷ってしまったら…

◇食べてはいけないもの
ピーナッツ・グミ・キャラメル・ガムなど粘り気があるものや、大きな物を丸かじりするのは避けましょう。また、飴をかじるのも避けて下さい。
◇食べて良いもの
ワイヤーを装着してから2、3日はリゾット・雑炊・ドリア・鍋焼きうどんなど栄養のバランスのとれた食事を心がけましょう。
装置に慣れてきたら、肉・魚・卵・豆腐などのタンパク質の食材を中心に野菜なども加えていきましょう。

・肉は小さめに調理しましょう。
・魚は刺身(まぐろ、ぶり、かつお、ひらめの薄作り、鯛など)やたらこ、うに、イクラなども良いでしょう。
・豆腐は冷奴、湯豆腐が定番ですが、なべ料理には必ず入れましょう。

温めた豆腐に鰹節・じゃこ・きざみネギをのせたら、最後に熱いごま油をかけて醤油を好みの量だけかけたら出来上がりです。

歯の動揺(ぐらぐら)が気になる…

治療期間中、歯が動揺している事に気づくでしょう。これは、歯が動く時の生理的現象です。
どうか心配しないで下さい。
治療終了後に装着するリテイナーによって、歯を固定(歯の周囲にある骨を再生)するからです。

矯正治療中の歯の磨き方が分からない

基本的には、かかりつけの矯正歯科医院で指導を受けると良いでしょう。ここではブラッシングのポイントを説明したいと思います。
まず、ワイヤーを境にして歯の切端側(右図の1)を磨きます (比較的やさしいです)。
次に歯肉側(右図の2)を良く磨きます(2本づつ小刻みに前後させる)。その際、あまり力をいれないようにしましょう。過度な歯磨きは、歯肉を傷つけたり、歯肉退縮をまねきます。なるべく3本指(お箸を持つ要領)で弱い力で磨きましょう。 時々、歯垢染色液(大型雑貨店でも購入可能)で歯が磨けているか確かめましょう。

糸ようじ(フロス)や歯間ブラシの注意点

歯ブラシだけでは磨けない部位があります(黄色の丸印)。それは、ワイヤーと歯面の間です。そこで補助用歯ブラシが必要となります。
 
◆歯間ブラシ
歯間ブラシは、ワイヤーの直下や歯と歯の間を磨く道具です。ただし、やり過ぎると歯と歯の間に隙間ができてしまうので注意が必要です。
◆インタースペースブラシ
金具の周りを磨くのに便利です。
◆デンタルフロス
歯と歯の間を糸のこぎりのように前後させて汚れをとる道具です。フロスを深く歯肉に入れないようにして下さい。

矯正用ゴムのかけ方を忘れてしまったら…

斜めにかけるゴムには、ニ級ゴム・三級ゴム・クロスエラスティックなどがあり、縦にかけるゴムには、垂直ゴムがあります。
症例によって、様々なゴムの掛け方があり、忘れてしまったら担当医に連絡を取りましょう。
間違った方法で掛けてしまうと治療が困難な方向へと向かってしまいますので注意して下さい。

歯が動かない時

矯正治療で厄介な問題の一つとして歯が動かない事があります。
八重歯が下りて来ないで、周りの歯が持ち上がってしまい開咬状態になってしまうことがあります。これは外傷歯などでみられるアンキローシスと呼ばれる症状と同じであり、骨と歯根が癒着してしまった結果、歯の移動が困難になったケースです。

問題の歯を、人為的に脱臼させたり、一週間毎に力を加えたりする場合があります。
脱臼させた歯は、矯正治療後に根管治療を必要とする事があります。

リテーナーを壊したら…

リテーナー(保定装置)を壊したら、なるべく早く担当医に連絡して下さい。来院の際には、壊れた破片とワイヤーを捨てずにお持ち下さい。
リテーナーの保管について、なるべく乾燥させないように水の中に浸けておいて下さい。
その他、リテーナー紛失の原因として、犬に噛まれたり、何処かへ置き忘れたり、身内の人にゴミと勘違いされて捨てられてしまう事がありますので注意しましょう。

資料提供
よこはま矯正歯科クリニック
院長:石塚 敬太先生

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