温故知新 - 原点に学び新たな展開へ - 第69回日本矯正歯科学会

パシフィコ横浜 講演会場
▲ パシフィコ横浜(学術展示・症例展示・商社展示等会場) ▲ 講演会場入口

2010年9月27日(月)〜29日(水)の3日間、神奈川県のパシフィコ横浜にて、第69回日本矯正歯科学会大会が開催されました。日本矯正歯科学会の会員をはじめ、国内外の研究者や歯科医師、歯科衛生士をなど、矯正歯科治療に従事する医療関係者が一同に集まりました。
開会式が行われた29日は、午前中強い雨にみまわれ、あいにくの天気だったにもかかわらず、3日間の参加者数は4414人と大盛況でした。
28日(火)には、同時開催として韓国の大韓歯科矯正学会と日本矯正歯科学会の代表6名による講演が行われました。

※ 日本矯正歯科学会とは:歯科矯正学の進歩、発展を図ることを目的として、1926年10月に創立された学術組織です。 >> 詳細はコチラ


今回は、「温故知新 - 原点に学び新たな展開へ - 」をメインテーマに開催されました。矯正インプラントや摩擦の少ないフリクションレスブラケットなど、日々矯正歯科臨床が発展しているなかで、"いま一度、治療の基本、歯科矯正学のあり方を見直してより良い診療を目指す"ことを目的とした様々な演題が発表されました。レポートではその一部をご紹介します。

開会講演 【基調講演】 不正咬合を再考する (9月28日)

大会2日目、「不正咬合を再考する」をテーマに、今大会会長の佐藤貞雄先生(神奈川歯科大学学長 成長発達歯科学講座歯科矯正学分野教授)の基調講演が行われました。
不正咬合にいたる過程と原因が明確になれば、より症例に応じた治療法が見えてくると述べ、出生から正常咬合を獲得するまでの骨格の変化や、下顎骨の成長について、貴重なデータとともに解説されました。午前の早い時間にもかかわらず約1200人収容のメインホールに集まった先生方は、終始、熱心に耳を傾けていました。

【シンポジウム】 矯正治療のメカニックス AtoZ (9月29日)

最終日の29日に行われたシンポジウム「矯正治療のメカニックス AtoZ」ではワイヤーやブラケットなどの装置によって歯の動きをコントロールする矯正メカニックス(機械学)の第一人者による講演がありました。吉田教明先生(長崎大教授)、Dr. Thomas F. Mulligan(アメリカ開業)、Dr. Hans-Peter Bantleon(オーストリア ビエナ大教授)3名のパネリストが、より効率的に歯を動かし、かみ合わせを改善するテクニックについて発表しました。

「矯正臨床に役立つ歯の移動のバイオメカニクス−治療の効率化を目指して−」と題された吉田教明先生の講演では、不要な歯の移動をさせずに、効率的に治療を進めて治療期間を早める矯正装置の調整法や、歯の移動のコントロールを妨げる要因などについて、バイオメカニクス*の原則や臨床データの解説を交えながら発表しました。

*生物の構造や運動を力学的な研究。生体力学

【サテライト第3回 日韓ジョイントミーティング】
日韓ジョイントミーティングは、日本と韓国の矯正歯科学会の相互の情報交換と親睦を目的に、2006年より隔年で開催しています。日本矯正歯科学会後藤滋巳理事長と大韓歯科矯正学会会長のYoung-Guk Park氏による会長講演を皮切りに、「2級症例に対する治療を再考する」テーマで、各学会の代表者6名による発表が行われました。

セミナー風景 ・ 2級症例とは

シンポジウムのテーマとなった「2級」症例とは、歯科矯正学で一般的に使われている不正咬合を分類する「Angle[あんぐる]の分類」の1つで、「正常なかみ合わせよりも下の歯列が上顎の歯列よりも奥で咬んでいる状態」のことを差します。
2級には、「1類」と「2類」の2種類あり、なかでも「1類」は、上前歯が出ている上顎前突、いわゆる「出っ歯」状のかみ合わせをいいます。
シンポジウムでは、この2級症例の診断と分類、症例別の治療法などについて発表が行われました。

・ 成人矯正が小児矯正を牽引

シンポジストの井藤和明院長(愛知県・井藤矯正歯科クリニック)や柄博治院長(広島県・つか矯正歯科)の各講演では、自院の矯正歯科治療の変遷について、いずれも「約20年前よりも成人矯正の患者様が増えた」という共通点がみられました。また、親子で通院されている例もよくあり、母親自身の成人矯正治療をきっかけに、子どもが続いて小児矯正治療する患者様もみられるそうです。

摩擦が少なく、歯を動かす力がコントロールしやすい「ローフリクションブラケット」や、ヘッドギアなどの補助装置を不要にしたり、非抜歯で歯列矯正できるケースを広げた「インプラント矯正」の登場が、成人で矯正をする患者様数を増やしている一因でもあります。シンポジウムでは、「外科手術適用のボーダーライン」「抜歯・非抜歯に対する科学的根拠」など、よりよい診断・治療のために今後解決すべき点としてあげられました。


【ラウンドテーブルディスカッション、市民公開講座】

28日の午後に開かれたラウンドテーブルディスカッション(RTD)では、毎年、各専門分野に詳しい矯正歯医がモデレーターとなり、それぞれのテーブルに参加した矯正医と毎年熱い活発な議論が繰り広げられています。
また、同大会の前日26日の日曜日は、一般の方々に向けて、「子どものねむりと歯の健康〜ストレス社会からわが子を守る〜」をテーマに市民公開講座が開かれました。日本矯正歯科学会では、毎年、学会大会と併せて一般の方向けの公開講座を開催しています。近くで学会が開催された際は、是非、足を運んでみてはいかがでしょうか。

【学術・症例展示会場】
学術・症例展示会場では、学会所属の先生方による研究内容・症例報告がパネル展示されていました。症例展示の中には、韓国や中国の大学の出展もありました。会場内では、熱心にメモをとったり、展示をされた矯正医とその場でディスカッションをはじめたりしている先生方をお見かけしました。

【商業展示会場】
商業展示会場では、矯正治療に関連のあるの企業の展示や販売が行われていました。矯正歯科に携わる人たちが一同に会す、活気ある会場です。メーカーブースでは、矯正装置や装置を使用した症例と使用方法について、実際に使用している矯正歯科医院の先生が解説するレクチャーやミニセミナーが行われておりました。

展示
  ▲ 矯正歯科の関連企業の展示や販売ブース

・次回の開催について
次回第70回は、2011年10月17日から20日までの3日間、名古屋国際会議場で開催される予定です。記念すべき第70回目で、第4回国際会議も開かれます。


【スタッフ後記】

「温故知新 - 原点に学び新たな展開へ - 」という総合テーマのもと、ヒトの咬合・不正咬合の成り立ちや、矯正装置で歯を移動させるためのメカニックス(機械学)についての講演等を拝聴し、矯正歯科治療はとても繊細・複雑で、多くの経験や技術が必要なことや、新しい装置や治療方法が誕生し、進歩しているなかでも、歯科矯正学の基本は最も大切であることを感じました。

これから矯正を始めたくてカウンセリングを受ける方、治療中の方も、もし治療について分からない点や不安があったら、担当の先生やスタッフさんに率直にきいてみましょう。「自分はどんな治療をしているか」よく理解することで、治療生活がより充実したものになるかもしれません。
矯正歯科ネットでは、みなさんの「?(はてな)」に応えられるよう、また、患者様と矯正歯科医院との橋渡しになれるよう、より便利なサイトにして、わかりやすい情報を発信していきたいと思います。

レポート:矯正歯科ネット運営部

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