グローバルスタンダードに向けて - 矯正歯科の新たな展開 - 第67回日本矯正歯科学会

幕張メッセ 大会ポスター
▲ 幕張メッセ ▲ 大会ポスター

2008年9月16日(火)〜18日(木)の3日間、千葉県の幕張メッセにて、第67回日本矯正歯科学会大会が開催されました。

※ 日本矯正歯科学会とは
 歯科矯正学の進歩、発展を図ることを目的として、1926年10月に創立された歴史ある学術組織です。
 日本矯正歯科学会認定医や専門医等の設定、学術大会の開催、機関誌の発行などの事業を行っています。日本矯正歯科学会認定医及び医の認定や更新(5年ごと)の際は、当会主催の学術大会への出席や発表、学術誌における報告が義務となっています。会員数は平成20年現在で、約6,000名(うち認定医約2,400名)。
■ 日本矯正歯科学会のHPはこちら→http://www.jos.gr.jp/


 今回は、「グローバルスタンダードに向けて‐矯正歯科の新たな展開- 」をメインテーマに開催されました。会場では、歯科医師にを対象にした生涯研修セミナー、臨床セミナー、シンポジウム、ラウンド・テーブル・ディスカッション、所属会員による多様な症例・学術報告の展示など、様々な催しが行われました。

開会講演

【開会講演】
 初日の開会式が盛大に行われた後、コンベンションホールにて「アンチエイジング医学のサイエンス」をテーマに坪田一男先生(慶應義塾大学医学部眼科学教室)の基調講演が行われました。
 今後、日本は一層の高齢化社会を迎えます。病気を未然に防ぐ研究である「予防医学」や、老化を抑えて健康長寿を目指す「アンチエイジング医学」は近年医業界を問わず、社会の注目を浴びています。

 「矯正歯科治療」も、予防やアンチエイジングと関係が深いことをご存知でしょうか? 噛み合わせを治療し、咀嚼機能が改善されると、唾液の分泌が促進されます。これにより虫歯や歯周病のリスクが軽減され、「肥満防止」や「認知症予防」、などといった全身の疾病予防や健康維持に作用するのです。
 開会講演で坪田先生は、加齢のプロセスの代表的な仮説(カロリーリストラクション仮説と酸化ストレス仮説)とアンチエイジング医学の未来への展開について解説しました。
「加齢性の疾病のリスクを抑え、いつまでも若々しく、元気に生きる」ことを目指す、アンチエイジング医学への関心は高く、参加者は終始、熱心に耳を傾けていました。

セミナー風景

【サテライトセミナー1】
 開会講演の後、2つの会場で同時にサテライトセミナーが行われました。
 サテライトセミナーは、3年前の大会から、矯正治療の診断・治療結果の標準化と向上を目指す、「矯正歯科治療の評価基準」をテーマにしています。
 第一会場では、「顎変形症の評価基準を求めて」と題し行われました。顎変形症の外科的顎矯正法は、1990年に健康保険が適用されるようになりました。これにより、顎変形症患者で顎矯正手術を希望する受診者の割合が増加傾向にあります。
  セミナーでは、顎矯正手術が必要な症例のボーダーライン、患者様希望を考慮した評価基準(治療結果の基準)などについて、3名の先生が発表しました。口腔外科医や、矯正歯科医など、治療に携わる多くの参加者から質問・意見が寄せられました。

【サテライトセミナー2】
 第2会場では、「新材料を用いた次世代矯正歯科へのアプローチ」と題しセミナーが行われました。「どんな材料をどの矯正症例に使用すれば歯が動きやすいか」、「治療中により患者のリスクが少ない材料は何か」。材料の発展は、治療技術と質の向上に大きく貢献します。各発表者が示したデータやグラフを写真におさめ、熱心にメモをとる先生方の姿が印象的でした。

学術・症例展示会場

【学術・症例展示会場】
 学術・症例展示会場では、学会所属の先生方による研究内容・症例報告がパネルで展示されていました。
 日々、患者様の診療にあたっている全国の矯正歯科の先生の多様な症例と治療報告が拝見できました。

【様々な企画】
 記念講演では、医療ミステリー小説の『チームバチスタの栄光』の著書であり病理医である海堂尊先生が招かれました。
 「オ−トプシーイメージング(A.I - 死亡時画像病理診断)のある社会」について、A.Iの社会制度導入を目指して奮闘するエピソードや、その有用性について熱弁され、参加者の先生方は大変関心を寄せて聴いていらっしゃいました。
また、同大会の開催に関連して、9月23日には、日本大学カザルスホールにて市民公開講座が開催されました。開催地の一般の方々に向けて、食生活や正常な咬み合わせの大切さを啓発しました。

ご紹介した講演やセミナーのほか、各セッションにおいて、歯科・医科を問わず、医療の現場で活躍している先生や、各界の著名な方の講演や研究発表があり、今大会は大盛況の内に幕を閉じました。

【商業展示会場】
 学術展示会場の並びにある商業展示会場では、矯正治療に関連のあるの企業の展示や販売が行われていました。ちなみに、私たち矯正歯科ネットもブースを出展させていただきました。今回初めての出展です。お声を掛けていただいた先生方、誠にありがとうございました!

▲ 矯正歯科ネットの展示ブース ▲ 矯正歯科の関連企業の展示や販売ブース

【スタッフ後記 … 日本矯正歯科学会大会に参加して】
 本大会のメインテーマである、「グローバルスタンダードに向けて」に導かれるように、矯正治療技術の発展や治療結果の標準化のみならず、より患者様本位に立った治療を追及し、アンチエイジング効果や全身的な健康増進への寄与を目指す矯正歯科治療の展望が示されていたと感じました。

 矯正治療技術は日進月歩です。今回、大会に参加して、矯正治療方法の多様さを改めて実感しました。
 この3日間で得られた情報や経験を元に、矯正治療をお考えの方や実際に受けられている方々にとって、より有用でわかりやすい情報をお届けしていければと思っております。

矯正歯科ネット運営部 瀧澤

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