矯正中のMRI撮影はできる?

矯正中のMRI撮影はできる?

矯正歯科治療中にMRIの撮影が必要になった時に、医師や検査技師から矯正装置を外すように指示された、という話はよく耳にしますよね。

高額な治療費を支払って矯正をしているのに途中で矯正装置を外してしまったら、歯並びがずれたり、治療期間が長引いてしまうのでは?と心配に思いますよね。

今回の記事では、「矯正装置を付けたままMRIを撮ることはできるの?」という疑問に、お答えします。

監修医師

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。

目次

  1. 矯正中のMRI撮影はできる?できない?
  2. MRIの安全性
  3. MRI撮影の時に矯正装置を外すのはなぜ?
  4. 【大人の矯正】矯正中のMRI撮影についてまとめ

矯正中のMRI撮影はできる?できない?

矯正治療中に疾患の疑いがありMRIを受けたい場合や、健康診断でMRIを受けたいと思った時に、「MRI検査を受けるためには、歯科医院で矯正装置を外してきてください」と言われたという話をよく聞きますよね。

MRI撮影のために、矯正装置を外す必要はあるのでしょうか?

基本的に矯正中でもMRI撮影は可能です。

しかし、矯正中にMRI撮影を受けたい場合、特に頭部のMRI撮影を行う時に、矯正装置を外すように指示されることもあるようです。
特に、頭部のMRI撮影では磁力と矯正装置がお互いに与えてしまう影響が大きくなる傾向にあるためです。

MRI撮影時の矯正装置への対処法は、矯正に使用されている装置の種類によって異なります。

固定式(自分自身で外せない)矯正装置では、外すことなくMRI撮影を行うケースが多いとされています。
固定式装置に使用されている金属は、チタンやステンレスが使用されており、MRIに影響はないとされているためです。

いわゆる公的医療保険を適用して受ける「銀歯」の素材も、金銀パラジウム合金であり、MRIには影響がありません。
しかし、ニッケルやコバルトクロムといった素材を使用している場合は、外す必要があるかもしれません。

可撤式(自分自身で付け外しができる)床矯正装置やリテーナーを使用している場合は、検査の時だけ外すように指示されることもあります。
可撤式装置を使用している方は、外している間に保管するためのケースなどを持参するようにしておきましょう。

MRIの安全性

MRIとは、強い磁力と電波を利用して、身体の内部を断面図を映像化する検査方法であり、身体のさまざまな方向からみた断面を撮影することができます。
レントゲン検査やCT検査とは異なり、放射線被ばくの心配はありません。

脳梗塞や脳動脈瘤など「脳卒中」の発見に優れているほか、神経や血管、靱帯や半月板などの軟組織の撮影も可能であり、さまざまな疾患の診断に活用されています。

近年では、人間ドックに取り入れられていたり、脳ドックとして脳卒中の早期発見に寄与するなど、より身近な検査となってきていますね。

MRI撮影の時に矯正装置を外すのはなぜ?

MRI検査では、強い磁力を利用します。
そのため、磁力に引き付けられる性質を持つ金属は、MRIの磁力に引き付けられてしまいます。

MRI設備の故障につながるほか、金属がある周囲の磁力が乱れ、MRIの結果自体も、適切でないものになってしまうケースもあるのです。

また、矯正装置では、ブラケットやワイヤーが引っ張られて浮いてしまう、外れてしまう可能性があるほか、歯科医師が調整した位置から動いてしまい、予想していない方向へ歯が動いてしまう危険性があります。外れた矯正装置がお口の中を傷つけてしまうかもしれません。

これらの理由からMRI撮影を行う際は、お口の中の金属であっても場合によっては取り除く必要があります。

ただ、上記でもご紹介したように、使用している金属の種類によってはMRIに影響がなく、取り外す必要がないケースもあります。

【大人の矯正】矯正中のMRI撮影についてまとめ

矯正治療中にMRI検査を受けるために矯正装置の除去や確認を指示された時は、担当の歯科医師に相談してみましょう。
同じような矯正装置に見えても、使用されている素材が異なることもよくあります。

できれば、「使用している矯正装置の名称」や「使用されている金属の種類」、「使用している矯正装置の個数」などを担当の歯科医師に聞いておくと、MRI検査がスムーズに受けられるかもしれません。

同時に、「矯正装置をつけたままMRIを受けた時の影響」や「矯正装置を外した場合に治療期間が延びるかどうか」など、患者さん一人ひとりによって異なる不安や心配なことも確認しておくと安心してMRI検査を受けることができますね。
健康のためのMRI検査を安心して受けるために、ポイントにしてみてください。

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