矯正歯科治療を受けるならどこがいい?迷ったときの判断ポイントは?

矯正治療を検討している方がよく悩まれるのが「矯正治療をどこで受けたら良いのか」ということです。歯科医院と一言でいっても、さまざまな選択肢があります。どこで矯正治療を受けるのが良いのかや、ポイントも紹介します。
公開日:2025/05/30 更新日:2025/06/03
監修医師

歯科医師 古川雄亮先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
目次
この記事の要約
・矯正治療を受けられるのは、病院(矯正歯科がある大学病院など)、一般の歯科医院、矯正専門の歯科医院の3つ。
・歯科医師・スタッフの技術や経験、設備、費用の明示などが治療判断のポイント。
矯正歯科治療を受けるのはどこがいい?選択肢は3つ

矯正治療を受けることができるのは、主に矯正歯科のある大学病院、一般の歯科医院、矯正治療を専門の歯科医院の3つが挙げられます。
大学病院のメリット
大学病院で治療を受けるメリットに、下記の3つがあります。
①複数の歯科医師の見解をもとに治療が行われる
大学病院は、矯正歯科を専門的に研究・治療してきた教授や歯科医師をはじめ、若い歯科医師を指導する立場の歯科医師も多数在籍しています。ひとつの症例を複数のエキスパートで分析し話し合うので、トラブルを回避し良い治療が受けられます。
②難しい症例にも対応しやすい
矯正歯科の難症例の治療には高度な知識や経験が必要になります。大学病院では診療分野ごとに専門的な医師が在籍しています。
③設備が充実している
顎運動の分析など精密検査ができるので、精度の高い治療ができます。大学病院では、一般的な歯科医院よりも設備が良いことが多いです。
大学病院のデメリット
さまざまなメリットがある大学病院ですが、デメリットもあります。
①若手医師が担当医になる場合がある
大学病院は若い医師の研修施設で、育成の場としても機能しています。新人医師が担当することもあり、指導医がチェックしながら治療する体制も多いです。新人医師の担当が嫌でも、大学病院では医師を選べないことが多いです。
②受診できる時間帯が限られている
大学病院は、受診時間が平日午後5時ごろまでになっているところが多いです。平日は通学・通勤している方は、休みを取って通院することになります。
③治療時間が長くなる傾向にある
診療時間が短く、一般的な歯科医院から大学病院を紹介されるケースも多いため、予約が取りにくいです。また、1回あたりの治療時間が長い傾向にあり、受付から帰るまで時間がかかるのが嫌な方の場合、大学病院が向いてないかもしれません。
一般歯科医院のメリット
一般的な歯科医院で矯正歯科を受けるメリットは、次の3つがあります。
①通院しやすい
一般的な歯科医院はお住まいの地域に根ざしていることも多く、通院しやすいのが大きなメリットです。ご自宅、学校、お仕事の帰りなどに立ち寄りやすく、トラブルがあったときもすぐに受診できます。
②歯科医師と信頼関係を築きやすい
小さいころからよく知っている歯科医院であれば、患者さんと歯科医師の間に信頼関係が築けており、コミュニケーションがスムーズです。リラックスして治療を受けられる環境というのも、長期になる矯正治療では大切な観点になります。
③矯正以外の治療にも対応できる
一般診療もしている歯科医院も多いため、矯正治療前後に虫歯治療や抜歯などが必要になったとしても、スムーズに対応しやすいです。他院で治療を受けずに済むのはメリットでしょう。
一般歯科医院のデメリット
利用しやすい一般的な歯科医院ですが、デメリットもあります。
①非常勤の歯科医師が治療する場合が多いため診察日が少ない
矯正歯科には専門的知識が必要です。そのため、矯正歯科もある歯科医院でも、非常勤の歯科医師が対応するケースが珍しくありません。矯正日が月数回で、治療途中で担当医が退職するリスクもあります。
②対応できない症例もある
症例によっては、専門的な知識や経験が必要です。一般歯科医院では対応できない可能性があります。
矯正専門医院のメリット
矯正歯科を専門的に取り扱っている歯科医院ならではのメリットは、次の3つがあります。
①専門性の高い治療を受けられる
矯正歯科の高い技術や知識をもつ歯科医師の治療を受けられます。
②設備が充実している
矯正治療をする上で設備が整っていれば、良い治療が可能です。
③トラブルが起こっても迅速に対応できる
矯正歯科専門の歯科医院であれば、急なトラブルが起きても迅速かつ適切に対応できます。矯正歯科に詳しい医師が在籍しているので、予約を取りやすいです。
矯正専門医院のデメリット
いくつかのメリットがある矯正専門院ですが、デメリットもあります。
①虫歯や歯周病などの治療は受けられない
矯正専門の歯科医院では、虫歯や歯周病、抜歯といった治療を受けにくいです。矯正治療前にこうした治療が必要になった場合、別の歯科医院への通院が必要になります。
②自宅から通いにくい場合がある
矯正歯科専門の歯科医院は、一般的な歯科医院に比べると数が少なくなります。そのため、自宅、勤務先、通学先などから遠い可能性があります。矯正歯科は長期にわたるため、アクセスが悪いと負担に感じる場合があります。
矯正歯科治療を受けるときにどこがいいか迷ったときの6つの判断ポイント
さまざまな選択肢があるなか、決め手となるポイントにはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは6つの例を紹介します。
①常勤の矯正歯科医がいるか
常勤の歯科医師が在籍していると、同じ担当医から治療を継続して受けられます。信頼関係を構築しやすいです。
②日本矯正歯科学会認定医が在籍しているか
日本矯正歯科学会の認定を取得するには、長期的な研修を受けるほか、学会の試験に合格するなどの条件が必要になります。認定を受ける歯科医師は、矯正歯科の技術や知識をもっていると判断できます。
③セファログラム検査を行っているか
セファログラムとは、顔面と頭部の骨格などを写すX線規格写真です。顎の大きさやズレ、口元のバランスがわかり、矯正治療に不可欠な検査とされています。セファログラム検査を行っている歯科医院は、精密な治療を行うポイントを押さえているでしょう。
④治療計画や費用について詳しく説明してくれるか
矯正歯科は長い期間の治療が必要です。患者さんが治療期間中に不安を抱かないよう、治療計画を共有する段階で治療ゴールや費用を明示することが大切です。費用については、支払い方法など、細かく説明があるところだと、より安心できます。
⑤引っ越しなどが必要な場合の転医や治療費精算についての説明があるか
長期の治療期間中に、患者さんが引っ越す可能性もあります。転医や治療費の精算について事前説明を受けられるかも、重要なポイントです。さまざまなリスクに備える歯科医院であれば、詳しい説明を事前に受けられるでしょう。
⑥専門知識を持った歯科衛生士やスタッフがいるか
しっかりとした治療技術をもつスタッフなら、ワイヤー交換などの際もスムーズです。訓練されているスタッフが在籍している歯科医院を選べると、治療中のストレスも軽減されます。
まとめ
矯正治療を受けられる医療機関は、矯正歯科のある大学病院、一般的な歯科医院、矯正専門歯科医院の3つです。それぞれにメリットとデメリットがあるので、よく理解して選択することが大切です。無料相談を受け付けているところもあるので、歯科医院を選ぶポイントを確認しながら相談してみると良いでしょう。
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