飲み会で困らないリテーナー管理術!外した方が良い理由&取り扱い方

矯正治療が終わった後、動かした歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」を防ぐ保定期間へ移行します。保定期間中はリテーナーを装着しますが、飲み会があるときなどは取り外しの出来るリテーナーであれば、外すべきなのでしょうか。リテーナーを付けたまま飲み会に参加するリスクや、管理方法を事前に知っておきましょう。
公開日:2025/10/16
監修医師

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
目次
- 記事のポイント3つ
- 飲み会のときにリテーナーを外した方が良い4つの理由
- ①色の濃い飲み物でリテーナーが変色する場合がある
- ②お酒や炭酸飲料の影響でリテーナーが傷みやすくなる
- ③食べカスが入り込んで虫歯や歯周病のリスクが高まる
- ④酔った勢いでリテーナーを壊す恐れがある
- 飲み会があるときのリテーナーの取り扱い方5つ
- ①食べたり飲んだりするときは必ず外す
- ②外している時間をなるべく短くする
- ③飲み会が終わったら再装着する
- ④再装着する前に歯を磨く
- ⑤紛失しないようケースに入れて管理する
- リテーナーの清掃方法とは?正しいケアで清潔に保つポイント
- 歯ブラシを使って水洗いする
- リテーナー用の洗浄剤を使用する
- リテーナーを清掃するときの注意点
- まとめ
記事のポイント3つ
・リテーナーをつけたまま飲み会に参加して飲み食いすると、リテーナーが着色・変形する恐れがある
・リテーナーを装着しない時間をなるべく短くし、飲み会が終わったら再装着するのを忘れないことが大切
・リテーナーの紛失・破損・汚れを防ぐには「ケース管理+正しい清掃」が鍵
飲み会のときにリテーナーを外した方が良い4つの理由

お酒そのものがリテーナーの着色に影響を及ぼし、酔って注意散漫になりやすい、などのトラブルが考えられます。
①色の濃い飲み物でリテーナーが変色する場合がある
飲み会によく出るビールや赤ワインの飲み物の色素が、リテーナーにつくことがあります。また、ソフトドリンクでもコーラやコーヒーのように色の濃いものを口にしてリテーナーが着色する原因になります。
飲み会中は必ず外して保存ケースに入れ、帰宅後は専用の洗浄剤を使うなど丁寧にケアしましょう。
→リテーナー装着期間中に食べ歩きする際の注意点や、避けたい飲み物は「リテーナー装着期間中の食べ歩き|避けたい食べ物・飲み物とは?」の記事をご覧ください。
②お酒や炭酸飲料の影響でリテーナーが傷みやすくなる
ビールやハイボールなどアルコール飲料のほか、炭酸飲料は酸性です。酸はリテーナーを劣化させ、長時間の強い酸はひび割れや変形につながりフィット感が悪くなる可能性があります。
また、酔って気づかずに強く噛むと、リテーナーが破損するリスクも高まるため注意が必要です。
③食べカスが入り込んで虫歯や歯周病のリスクが高まる
食べカスがリテーナーと歯の間に入り込むと、歯磨きだけで取りにくく、歯垢・歯石が形成され、虫歯や歯周病を進行させます。また、食べカスが残っていると口臭の原因にもなります。
④酔った勢いでリテーナーを壊す恐れがある
リテーナーは強い衝撃で壊れることもあります。飲み会で強く噛んでしまうと、リテーナーが割れるなどのトラブルを起こすことがあります。
飲み会の開始前にお口から外してきちんとケースに入れ、帰るまで管理するのが大切です。
飲み会があるときのリテーナーの取り扱い方5つ

リテーナーを正しく扱うことは、装着効果を維持し、トラブル防止にとても重要です。ここでは、装着時間や管理のポイントなど、5つの取り扱い方を紹介します。
①食べたり飲んだりするときは必ず外す
水以外の飲食ではリテーナーを外しましょう。飲み物によるリテーナーの着色や破損トラブルを予防できます。リテーナーを外した方が食べやすく、飲み会を快適に楽しめます。
②外している時間をなるべく短くする
リテーナーの使用を始めたころは、歯が元の位置に動こうとする「後戻り」が起こりやすいです。なるべく長時間リテーナーを装着する必要があるため、現地の最寄り駅や飲み会の直前までリテーナーを装着しておくなど、外す時間をなるべく短くしましょう。
実際によくある相談事例
実際によくある相談事例を紹介します。
「飲み会で4時間以上リテーナーを外したら、翌朝少し歯に違和感がありました。すぐに装着し直したら落ち着きましたが、やっぱり長時間外すのはよくないんですね…」(20代女性)
→リテーナーを外すことによる後戻りについて詳しくは、矯正歯科ネットのお悩み相談「リテーナーについての相談事例」をご確認ください。
このように「リテーナーを数時間だけ外しても後戻りを感じた」という声は多くあります。飲み会が長くなりそうなほど、事前にしっかり対策しましょう。
③飲み会が終わったら再装着する
飲み会が終わって、リテーナーを外したまま帰宅すると、そのまま眠ってしまう可能性があります。そうすると歯の後戻りを促す恐れがあるので、帰宅直後はリテーナーを再装着しましょう。
④再装着する前に歯を磨く
リテーナー装着は、基本的に歯を磨いたあとです。飲み会のあとに歯を磨かずにリテーナーを装着すると、細菌が増える環境になって虫歯や歯周病のリスクを高めます。
また、リテーナーをつけると唾液が口の中を循環しにくく、唾液の自浄作用が下がります。飲み会のときは歯磨きセットを携帯し、化粧室で歯磨きをして、リテーナーを装着しましょう。歯磨きできない場合、少なくともうがいしましょう。
⑤紛失しないようケースに入れて管理する
アルコールを飲むイベントでは注意力が低下しやすく、外したリテーナーをトイレに置きっぱなしにして紛失するなどのリスクがあります。リテーナーは専用ケースに入れカバンの中にしまう、などして紛失しないようにします。
リテーナーの清掃方法とは?正しいケアで清潔に保つポイント
矯正治療後のリテーナーは、毎日口に入れるからこそ清潔がとても大切です。汚れを放置すると、虫歯や口臭、リテーナーの着色や劣化の原因になります。ここでは、正しいリテーナーの洗い方と注意点をわかりやすく解説します。
歯ブラシを使って水洗いする
軟らかい歯ブラシを使い、水洗いしながらリテーナーを傷つけないように、やさしく磨いて汚れを取るのが基本になります。
リテーナー用の洗浄剤を使用する
リテーナーには専用の洗浄剤があります。汚れや雑菌が気になる場合、洗浄剤を使うと爽やかな装着感を得られます。頻度としては週1回程度の使用で良いでしょう。
リテーナーを清掃するときの注意点
リテーナーを清潔にしたいあまり、必要以上のケアをする場合があります。例えば、歯磨き粉でリテーナーを磨くと、リテーナー表面に細かい傷ができて劣化を早める原因になります。水洗いで清潔に保ちましょう。
また、煮沸消毒はリテーナーの熱変形の原因になります。消毒目的で素材を劣化させるアルコール液を使用することも避けましょう。
まとめ
リテーナーを装着したまま飲み会で飲食すると、リテーナーの着色・変形原因になります。飲み会のときはリテーナーを外しましょう。
リテーナーを外す時間をなるべく短くし、終わったらすぐに再装着することが大切です。歯を動かす治療が終わった後は、清潔に保ったリテーナーをケースに入れて適切に管理しましょう。
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