歯列矯正は小顔効果が期待できる？フェイスラインは変化する？

・歯列矯正は噛み合わせや歯並びの改善が目的で、小顔効果は期待できない
・患者さんによってはフェイスラインが変化する可能性はある
・口ゴボの改善で横顔（口元）の見え方が改善されるケースがある

噛み合わせが正しくない状態にあると、左右の噛む力のバランスが悪くなります。咀嚼や咬合の負荷は上顎骨や下顎骨回りの筋肉にも作用するので、顔に歪みが出るおそれがあります。歯列矯正で噛み合わせが改善すると噛む力のバランスも良くなり、顔の歪みが解消されるかもしれません。

矯正治療成功のために、健康な歯を抜くケースがあります。これは、顎のスペースより歯の幅（トータル）が大きいと歯がきれいに並ばず、抜歯をして並ぶスペースを作るためです。抜歯箇所は噛む力の刺激が伝わりにくくなり、顎骨が痩せやすくなります。それによりフェイスラインが変化することがあります。

矯正治療中はマルチブラケットのような矯正装置を装着することになりますが、装置を入れている間は、食事のたびに歯磨きをするのが良いです。マウスピース型の矯正装置も、食事前に取り外しが必要で面倒でしょう。そのため、矯正治療の間は間食を控える方も多いです。

間食が減ると食事の栄養バランスが自然に改善し、ダイエット効果にもつながります。また、歯並びが良くなる過程で、しっかり咀嚼（そしゃく）できるようになっていき、「フェイスラインが引き締まった」と感じる方も稀にいます。

噛み合わせの不正や噛む筋肉の発達によってフェイスラインが歪んでいる場合、歯列矯正によって見た目が変化する可能性が高くなります。

骨格によってフェイスラインが乱れている場合、歯列矯正だけでは大きく変化しないでしょう。また、前歯の突出が少ない場合もフェイスラインの大きな変化は期待できないかもしれません。

歯並びが悪いと歯磨きが難しいです。歯が重なっていると汚れが溜まりやすくなります。歯列矯正によって歯並びが整うと歯ブラシが隅々まで行き届くようになり、歯垢などの汚れが付着しにくくなって虫歯・歯周病予防の効果も期待できます。

歯並びがきれいになると、これまで気になっていた口元のコンプレックスが解消され、表情に自信が生まれ、自然な笑顔がこぼれるようになるかもしれません。

歯列矯正で噛み合わせが正しくなれば、バランス良くしっかり噛めるようになります。食べ物を細かくして体内に入るので、消化しやすくなって内臓への負担が軽減され健康増進にもつながります。

歯並び・噛み合わせが悪い状態だと顎関節に大きな負担がかかり、顎関節症を発症するおそれがあります。顎関節症になると、お口が大きく開かない、顎関節や顎を動かす筋肉に痛みが出る、顎を動かすと音が鳴るなどの症状が出ます。

噛み合わせが良くなると顎への負担を抑えられ、顎の不調も少なくなる可能性があります。

歯並びに隙間があったりすると、発音が不明瞭になるおそれがあります。歯列矯正できれいな歯並びになると改善されて、はっきり発音できるかもしれません。

子どもの不正咬合を放置してしまうと、顎の成長が悪くなることがあります。小さいうちから歯列矯正を進め、顎が正常に成長するように誘導することも可能です。

歯列矯正と小顔効果に関するよくある質問と回答を紹介します。

A. 個人差がありますが、変化が出る場合でも、多くは「横顔の印象が整う」「輪郭がすっきり見える」程度でしょう。

歯列矯正は「歯並びと噛み合わせの治療」であり、劇的な輪郭変化は期待できません。

参考：Oxford Academic

A. 奥歯の抜歯後のスペースに前歯を動かす矯正方法だとで口元の後退も起こり、横顔がシャープに見えるケースがあります。骨格そのものを縮めるわけではなく「口元の見た目の印象」変化が中心です。

参考：日本歯科グループ 日本歯科

A. 歯列矯正後、数ヶ月～1年ほどで口元・横顔の印象の変化を感じる人が多いでしょう。ただし、変化の感じ方は個人差が大きいので注意が必要です。元々の骨格や筋肉の状態、治療内容（抜歯の有無など）によって異なります。

歯列矯正は噛み合わせや歯並びを改善する治療であり、小顔効果は原則得られません。ただし、出っ歯などによって口元が突出している方や、筋肉の過剰発達などが見られる方は、歯列矯正によって横から見た口元の突出度合いが改善しフェイスラインがきれいになったように見える場合があります。

外科手術を併用した矯正治療でなければ、口元以外の変化はあまり期待できないので、歯列矯正の目的や治療後の変化についてよく理解し、治療を検討する際は歯科医師と相談されることをおすすめします。