子供の歯列矯正ガイド|開始時期と費用のまとめ

子供の歯列矯正で気になるのは費用とタイミング。「いつから始めたらいいの?」「相場はいくら?」などの時期と費用についてまとめています。お子さんに治療を受けさせるべきか迷っている方にも知っていただきたい内容となっています。

公開日:2020/01/11  更新日:2021/11/16

監修医師

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。

子供の歯列矯正ガイド|開始時期と費用のまとめ

■目次

  1. 子供の歯列矯正ガイド|開始時期と費用のまとめ
  2. 子供の歯列矯正いつから始める?成長に合わせた2つの開始時期
  3. 第一期治療(3歳~12歳くらい)
  4. ここがポイント!
  5. 第二期治療(12歳~成人)
  6. ここがポイント!
  7. 子供の歯列矯正 気になる費用相場は?
  8. 第一期治療 の費用相場
  9. 第二期治療の費用相場
  10. その他の費用
  11. 子供の歯列矯正は健康保険の対象になるの?
  12. まとめ

子供の歯列矯正ガイド|開始時期と費用のまとめ



子供の歯列矯正で気になるのは費用とタイミング。「いつから始めたらいいの?」「相場はいくら?」など、矯正治療開始時期と矯正費用についてまとめています。お子さんに治療を受けさせるべきか迷っている方にも知っていただきたい内容となっています。

子供の歯列矯正いつから始める?成長に合わせた2つの開始時期

子供の歯列矯正は歯の生え変わりを目安に、乳歯のみまたは乳歯と永久歯が混在している「第一期治療」と永久歯が生え揃った後の「第二期治療」に分かれます。以下にて、それぞれの特徴について解説します。

第一期治療(3歳~12歳くらい)

年齢差や性差がありますが、第一期治療は乳歯が生え残っている3~12歳位までのお子さんが対象です。第一期治療は「歯並びを整える治療」というよりも、顎のバランスを整える「土台作り」が中心。永久歯が理想的な位置に並び、正しい噛み合わせができるように骨格を整えていく治療が中心です。併せて舌の癖や指しゃぶりなど、顎の発育に悪影響を及ぼす習慣も正しながら、健やかな成長を促します。小児矯正により顎の発育を整えることができるので、大人になって外科矯正治療により顎のバランスを整える必要性は低くなります。

永久歯が生え揃う土台がきちんと整えば結果的に正しい位置に永久歯が生えてきます。仮に、第一期治療で永久歯がきれいに並べば治療が終了しますが、理想的な歯並びや噛み合わせにするのは第二期治療からです。ご家族や本人が納得すれば第二期治療が不要になることもあります。

ここがポイント!

もしも、3歳児検診などで反対咬合(受け口・しゃくれ)を指摘された場合は、できるだけ早めに歯医者さんに相談しましょう。なぜなら、骨格に問題のある反対咬合は幼少期から治療を始めた方が、効果が得られやすいと言われているからです。骨格に問題がなければ簡単な装置で噛み合わせを改善できる場合もあります。
受け口などの骨格の問題は成長するにつれて、ますます目立ってきてしまいます。周囲の大人が「何かおかしいな」と気が付いたら、まずは歯医者さんへご相談を!

第二期治療(12歳~成人)

第一期治療のテーマは「骨格の改善」でしたが、第二期治療のテーマは「歯並びの改善」です。第一期治療で骨格のずれや歪みを整えたあと、第二期治療に移行して歯と歯の隙間やねじれをきれいに整えます。
第二期治療はブラケットとワイヤーを用いて歯並びや噛み合わせを調整するのが一般的です。基本的な治療法は一般的な大人の矯正とほとんど変わりません。大人の矯正と同様に、銀色のワイヤーを使ったブラケット矯正のほか、装置が目立ちにくい審美装置、マウスピースや裏側矯正などからも選択することができます。
「骨格のゆがみ」などの骨格的な問題はなく「歯並びが乱れている」というケースでは、あえて第一期治療は行わず、タイミングを見ながら第二期治療から開始するケースもあります。歯のサイズや生えている位置が原因で歯並びが乱れている「乱ぐい歯(叢生)」のようなケースがその例です。

ここがポイント!

・第二期治療では永久歯が揃い、顎の成長もある程度進んでいるため骨格の改善は難しくなります。場合によっては抜歯をして歯を移動させるためのスペースを作ったり、外科矯正により顎を動かして噛み合わせや顔の見た目を改善する必要があります。

・「骨格のゆがみ」などの骨格的な問題はなく、単純な「歯並びが乱れている」というケースでは、あえて第一期治療は行わず第二期治療から開始するケースもあります。歯のサイズや生えている位置が原因で歯並びが乱れている「乱ぐい歯(叢生)」のようなケースがその例です。永久歯の生え変わりを経過観察し、タイミングを計って実行することで治療期間がグッと短縮できる場合もあります。

子供の歯列矯正 気になる費用相場は?

子供の歯列矯正 気になる費用相場は?

「子供の矯正って高いんでしょ?」そのようにお考えの方は多いと思います。では、実際に子供の矯正の平均相場はどれくらいなのか。第一期治療と第二期治療、それぞれの費用を見ていきましょう。

第一期治療 の費用相場

第一期治療では主に「床矯正」と呼ばれる取り外し式の装置を使います。子供の成長に合わせて装置を交換しながら顎の成長を促します。※1装置あたりの平均相場は25,000~70,000円程度。第一期治療のトータルの費用相場は200,000~400,000円程度です。
床矯正は使用する装置数で費用が増減します。症状が軽いケースでは装置の作り替えが少なく済みますが、お口の状態によっては何台も装置の交換が必要になることもあります。また、床矯正は歯科医師の指示通りに装着時間や使用方法を守らないと治療効果に期待できません。装着をさぼると装置のフィット感が悪くなったり、痛みを感じることも。そうなると装置の作り直しが必要となったり、計画通りに治療が進まず治療期間が延長してしまい、結果的に治療費がかさんでしまう場合もあります。

症状や治療の難易度、治療の進み具合によっても治療費が変動するということを覚えておきましょう。
(※メディカルネット調べ)

第二期治療の費用相場

第二期治療は一般的な大人の矯正治療とほとんど変わりません。ブラケットとワイヤーを使用して歯並びや噛み合わせを整えます。※第二期治療のトータルの費用の相場は250,000~650,000円程度。(※一般的なワイヤー矯正の場合)第一期治療と比べて費用はやや高めです。

また、第二期治療は装置の種類を選択できる場合があります。大人の矯正と同様に、装置の見た目が目立ちにくい装置や裏側矯正、マウスピース矯正は、治療費が高めに設定されている場合が多く、選ぶ装置によっても治療費が変動します。なお、大多数の医院では第一期治療から第二期治療へ移行する場合、料金の調整をしています。第二期治療から治療をスタートさせる場合と治療費が異なるので、詳しくは歯医者さんへ聞いてみましょう。
(※メディカルネット調べ)

その他の費用

装置代以外に発生する費用を見ていきましょう。

初回相談料(カウンセリング料)・・・無料~10,000円程度
初回のカウンセリングは歯や口元の悩みを相談する場です。費用や装置の種類など、不明な点は遠慮なく聞いておきましょう。初回無料でカウンセリングを実施していることが多いので、気軽に利用するとよいかもしれません。治療費の安さばかりに気を取られずに、通院のしやすさや医院の雰囲気、先生との相性もチェックしていただきたいポイントです。

検査代(診断料)・・・10,000~50,000円程度
治療方針の診断材料として、お口の中のレントゲン撮影や頭部のレントゲン撮影、歯型の採取や噛み合わせのチェックなど、さまざまな検査を行います。顎の骨の中で永久歯がどのように育っているか、先天性の問題はないかなど、将来的なリスクも含め総合的に調べます。
(※医院によって検査の内容は異なります。)
(※医院によっては検査代と診断料が別会計になっている場合があります。)

抜歯代・・・5,000円程度
第二期治療は顎の成長をコントロールすることが難しいため、歯を抜いてスペースを作る場合があります。矯正治療の際に行う抜歯は「便宜抜歯」と呼ばれており、基本的に健康保険が適用されません。
(※医院によって抜歯代は異なります)

調整料・・・3,000~5,000円程度
来院ごとに発生する費用です。歯並びの経過観察や装置の調整、歯みがきのチェック料などが含まれます。
(※医院によっては装置代に調整料が含まれている場合もあります。)

保定装置代(リテーナー代)・・・20,000~30,000円程度
矯正治療が終了したあとは、歯並びが後戻りしないように専用の装置を付ける必要があります。この装置のことを「保定装置(リテーナー)」と呼びます。保定装置は取り外しができるワイヤータイプやマウスピースタイプ、針金を歯に固定するタイプなどがあります。

子供の歯列矯正は健康保険の対象になるの?

子供の歯列矯正は健康保険の対象になるの?

成人矯正の治療費は皆さまのご想像通り、健康保険(公的医療保険)が適用されない自由診療です。では、お子さんの矯正治療は健康保険の対象となるのでしょうか。

結論から言うと、子供の矯正も大人と同様に一部のケースを除き保険の対象にはなりません。一部のケースとは、先天異常のうち59の疾患と顎変形症の2種類です。出っ歯や受け口など、見た目や噛み合わせの改善を目的とした治療は残念ながら保険治療が認められていないのです。

また、国が認める疾患であっても、全ての歯医者さんで保険診療を取り扱っているわけではありません。保険で治療が受けられるのはごく一部の医療機関だけ。例えば自立支援医療を行うために必要な設備および体制を有していることや、関係学会に所属していること、研究従事年数が(歯科では)5年以上あることなど、国からの一定の基準をクリアした一部の医療機関に限られています。厚生労働省の定める指定自立支援医療機関(育成・更生医療)で保険診療を受けることができます。

★保険適用の歯列矯正について詳しくはこちら ↓
保険(公的医療保険)適用の矯正治療とは?

★歯科治療のお支払いについて詳しくはこちら↓
ローンは?分割払いは?審美的な歯科治療のお支払い方法について!

まとめ

成人矯正の費用相場は歯の表側に付ける装置で600,000~1,000,000円程度、裏側矯正はさらに高額で、1,000,000~15,000,000円程度の費用がかかるといわれています。確かに、歯列矯正は大人になってからでも可能ですが、成長がストップして顎の骨がガッチリ固まった大人の矯正は、抜歯を伴ったり顎の過成長のアンバランスを抑えるために外科手術が必要になるケースもあり、身体への負担も金銭的な負担もおのずと大きくなってしまいます。

それに比べて子供の矯正はリーズナブル。第一期治療の費用相場は200,000~400,000円程度、第二期治療の費用の相場は250,000~650,000円程度です(基本的に、第一期治療と第二期治療はセットです)。大人になってから治療を始めるよりも、子供の矯正の方が金銭的な負担をグッと抑えられることがお分かりいただけると思います。

さらに成長期の発育段階にある子供の矯正は、顎の骨の成長を促したり、抑制したり、ズレや歪みを整えたりなど、骨格ごと理想的な形に整えることができます。特に出っ歯や受け口など、骨格的な問題を抱えているお子さんにとって第一期治療が可能な12歳頃までは発育をコントロールできる特別な時期。このタイミングが治療開始の肝となるでしょう。

ただし、歯列矯正のベストタイミングは歯の生え変わりや成長の早さによって個人差があります。期を逃さずに最大限の治療効果を発揮できるよう、日ごろから検査を受けておくことが大切です。口元の悩みや心配ごとなど歯列矯正に少しでもご興味があれば早めに歯医者さんに相談してくださいね。

二期に移行する目安となる年齢は、男女で違い、女児は11歳、男児は13歳です。なので、間の12歳に変更しています。しかし、個人差が大きいので、あくまで目安であり、正確な時期は、身長や手の骨などの変化により開始時期を極めます。

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