新型コロナウイルス対策|気になる歯科・矯正歯科の感染予防法は

歯列矯正を検討しているけど「新型コロナウイルスが心配」という方は多いのではないでしょうか。歯科診療は患者さんの口腔内を至近距離でのぞき込む処置が多い医療行為。いわゆる、三密が気になる気持ちもわかります。ここでは、気になる歯医者さんの新型コロナ対策ついてまとめています。現在注目を集めているオンライン診療についても触れながら、歯科・矯正歯科の感染予防対策について学んでいきましょう。

公開日:2020/07/06  更新日:2020/08/27

監修医師

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。

新型コロナウイルス対策|気になる歯科・矯正歯科の感染予防法は

■目次

  1. 歯科・矯正歯科の新型コロナウイルス対策、感染するリスクが低い理由とは
  2. 飛沫感染は大丈夫?歯医者さんの予防対策とは
  3. 接触感染はこれで阻止、歯医者さんの予防対策はこれ
  4. 三密対策、ソーシャルディスタンスが気になります!
  5. 歯列矯正の相談OK、オンライン診療をおすすめしたい訳
  6. オンライン診療のメリット・デメリット
  7. まとめ

歯科・矯正歯科の新型コロナウイルス対策、感染するリスクが低い理由とは

「歯列矯正を始めたいけど感染が心配」という方は多いと思います。三密やソーシャルディスタンスが推奨されているなか、歯医者さんではどのような感染対策を行っているのでしょうか。以下にて歯医者さんのコロナ対策について詳しくご紹介します。

飛沫感染は大丈夫?歯医者さんの予防対策とは

新型コロナウイルスは飛沫感染と接触感染による、二つの感染ルートがあるといわれています。そのひとつが飛沫感染です。

歯科治療では、歯を削ったり、超音波の機械で歯石を取り除く際に「エアロゾル」が発生します。エアロゾルとは、煙や霧のように微粒子が空気中に浮遊している状態のことです。歯科治療は歯を削ったり歯石を取る器具(タービンやエンジン、超音波スケーラー)によって水しぶきが起こりやすいことから、エアロゾルによるウイルスの拡散が懸念されています。

しかし、実際の歯科治療のシーンでは、エアロゾルの発生による飛沫感染のリスクは少ないといえます。なぜなら、診療室内のこまめな換気や空気清浄機の設置による微細な粒子の排除のほか、「バキューム」と呼ばれる吸引装置で飛沫をダイレクトに吸いこみ、空気中にウイルスが飛散しないよう努めているからです。(ただし、歯科医療従事者は新型コロナウイルスの感染リスクが最も高い職種であると報告しているところもあり、注意は必要です)


特に、矯正治療は一般診療(虫歯治療や歯周病治療)と比べて、エアロゾルが発生しにくい環境です。また、歯科医師や医療スタッフは日頃からマスクやグローブ、ゴーグルの着用により飛沫をガードしています。このことからも、特に矯正歯科では飛沫感染のリスクは低いといえるでしょう。

接触感染はこれで阻止、歯医者さんの予防対策はこれ

接触感染とは、ウイルスが付着したものを触り、その手で口や鼻などを触ることで粘膜から感染することをいいます。感染者がくしゃみや咳を手で押さえ、その手で周りの物に触れることでウイルスが付着します。第三者がウイルスの付着した手すりやドアノブなどを触り、その手で口や鼻を触ることで粘膜から感染します。

歯医者さんの接触感染対策としては、手洗いの徹底やグローブの交換、器具の滅菌消毒や診療台の清掃などを行っています。また、診療時には清潔なエリアと汚染エリアを分けて処置を行っていたり、可能な限り使い捨てのディスポーザブルの器具を取り入れることで、汚染が広がらない工夫がされています。患者さんへの手指のアルコール消毒や治療前のうがい薬の使用を積極的にお願いしている歯科医院もあります。

そのほか、消毒用エタノールや次亜塩素酸などの抗ウイルス作用が期待できる消毒剤でこまめに清掃しています。特に、待合室のドアノブやチェア、パソコン周辺機器、電気のスイッチ、トイレ周辺などの不特定多数の人が触れる箇所は念入りに清掃していますよ。

三密対策、ソーシャルディスタンスが気になります!

三密対策、ソーシャルディスタンスが気になります!

コロナウイルスへの感染対策が話題になってから頻繁に耳にするようになった「三密」という言葉。コロナウイルスの院内感染を避けるために、歯医者さんでも三密対策がなされています。歯医者さんにおける三密(密閉・密集・密接)対策をご紹介します。

密閉
密閉とは窓のない部屋や換気ができない空間のことで、身近なところではカラオケボックスや会議室などがあてはまります。空間や部屋の広さではなく、換気の程度が重要だといわれています。一般的な密閉対策としては、窓やドアを1時間に2回以上開けて、数分間換気をすることが推奨されています。

歯医者さんにおいても、窓や診療室のドアを開けた密閉対策を行っています。空気を循環させることで診療室内のエアロゾルの発生を防いでいます。医院によっては微細な粒子やウイルス除去に有効な空気清浄機を兼用しながら窓を開けたままにするなど、院内の密閉対策を行っているようです。

密集
密集とは人がたくさん集まることです。ライブハウスや満員電車、テーマパークなどがその一例で、他人と十分に距離を保つことが推奨されています。
歯医者さんは予約をコントロールすることで密集を回避しています。患者さんが診療室内や待合室で密集しないように診療人数を制限したり、待合の時間を少なくすることで患者さんが同じ空間に密集しない配慮がなされています。

特に、矯正治療は虫歯や歯周病治療などの一般診療と比べて、通院スケジュールをコントロールしやすい診療です。矯正装置が壊れたり、装置の脱落がなければ、基本的には月に1度の来院スケジュールで問題ありません。また、万が一、次の予約まで1か月以上期間が空いたとしても、トータルの治療期間がわずかに延びるだけ。治療そのものに大きな問題は起きづらいでしょう。

密接
密接とは互いが近い距離で会話をしたり、集団で運動をすることです。社内での会話や飲食店、スポーツジム、スーパーマーケットなど、生活のあらゆるシーンにおいて起こりえます。一般的には、密接に対する対処法はマスクを着用することだといわれています。

歯医者さんではマスクやグローブ、フェイスガードやゴーグルを着用することで、ウイルスから身を守っています。また、同時に、来院された患者さんにも密接を避けるための協力をお願いしています。例えば、診療時以外(カウンセリング時、待合の時間など)においてもマスクの着用をお願いしているほか、付き添いをできるだけ控えていただくことや来院時の手指消毒、検温、席を一つ空けて座ってもらうなども密接状態を作り出さないための対策のひとつだといえます。

歯列矯正の相談OK、オンライン診療をおすすめしたい訳

矯正治療は初診相談や診断時のカウンセリングなど、歯科医師と患者さんとの話し合いが多い診療科目で、コミュニケーションを超重要視しています。ところが、現在は「密接」の観点よりマスクの着用は必須。かつ、感染予防の観点からできるだけ距離をとることが大切だとされています。
三密やソーシャルディスタンスは自分の身を守るために大切なことですが、しかしこれでは、コミュニケーションロスが発生するのではないでしょうか。自分の気持ちが相手に伝わっているのか、患者さんも歯科医師も心配になってしまいます。

そこで、注目されているのが「オンライン診療」です。オンラインであればマスクは必要ありません。きちんと相手の表情を診ながらカウンセリングが受けられるので安心感を得ることができますよ。では、以下にてオンライン診療について詳しく解説します。

オンライン診療のメリット・デメリット

オンライン診療とはスマホやPC、タブレットなどの通信機器を用いた診療です。外出先や自宅など場所にとらわれることなく、オンライン上で診察やカウンセリングを受けることができます。

オンライン上の診察のため、ソーシャルディスタンスや三密を気にすることはありません。「コロナが気になって医療機関に行くのは抵抗がある」という方や「忙しくてカウンセリングに行けない」という方、「まずは相談してみたい」という方もスマホから気軽に相談ができるところがよいところ。これまでは敷居が高いと感じていた矯正治療が、ぐっと身近に感じられるのではないでしょうか。

オンライン上でも歯並びや顔のバランスを診ることは可能です。おおよその治療期間や費用、装置の種類や口元に関する悩みは、オンライン診療でも十分に解決できるでしょう。オンライン診療を上手に活用すれば、感染のリスクを最小限に抑えられるうえ、交通費もかかりません。診察の待ち時間や移動時間もないため、時間の節約にもなりますよ。

ただし、あくまでもオンライン上の診察のため、正確な診断には限界があります。矯正治療は精密な検査が必須です。実際に患者さんの口腔内を診たり、レントゲンを撮影したり、歯型をとることも必要です。そのため、詳細な治療期間や費用などの治療計画の説明をオンラインのみで完結するのは難しいといえるでしょう。

オンラインカウンセリングでおおよその雰囲気を掴んだのち、精密検査を受けたい、もっと詳しく話を聞きたいと思ったら、来院の予約を取るとよいかもしれません。

まとめ

今回は歯医者さんの感染対策とオンライン診療についてご紹介しました。そもそも、歯医者さんは患者さんとの距離が近く、唾液や血液を介した感染症のリスク(B型肝炎やC型肝炎、HIVウイルスなど)にさらされやすい職業です。それゆえ、感染症対策への意識は高く、日頃より感染を起こさない配慮と拡大させない対策が取られているのです。まさに、歯医者さんは感染予防対策のプロなのですね。

また、オンライン診療に対応している歯医者さん・矯正歯科さんは今後も増えてきそうです。厚生労働省のHPにも対応している歯科・矯正歯科の一覧が記載されています。オンライン診療にご興味のある方は、まずは歯医者さんにお問い合わせくださいね。

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