顎変形症とは

顎変形症とは

顎変形症とは、顎が前後、左右にずれてしまっており、噛み合わせや見た目に悪影響を及ぼしている状態のこといいます。通常の歯列矯正だけでは改善が難しい場合は外科的手術を併用することで噛み合わせを改善していきます。ここでは顎変形症とはどういった状態なのか、診断方法や公的医療保険が適用されるのかなど詳しく紹介します。

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目次

  1. 顎変形症の基礎知識
  2. 顎変形症と診断される検査
  3. 顎変形症と診断される可能性が高い歯並びとは
  4. 顎変形症と診断されると公的医療保険が適用されます
  5. ボーダーライン症例

顎変形症の基礎知識

顎変形症とは、上顎と下顎の位置関係や大きさにズレがあるために、歯列矯正治療だけでは、咬み合わせや顔の変形を改善できない状態をいいます。顎変形症は、生まれつき顎の骨に異常が認められる先天性によるものと、幼少期に何らかの疾患の後遺症や外傷の後遺症によって生じる後天性によるものに分類されます。遺伝や成長期の原因不明の発育異常が多くを占めるといわれています。
顎変形症の種類として、上下前突症、上顎前突症、下顎前突症、小下顎症、開咬症、顔面非対称症などが挙げられます。

顎変形症と診断される検査

一般的に、歯列矯正の治療を行う前には、精密検査(頭部X線規格写真の撮影や歯列模型の作製など)を行い、各患者さんの歯列不正や顎の位置異常などを分析します。
この分析により頭の骨に対する上顎や下顎のズレ、形や大きさに異常がないかを調べます。分析の結果、顎の位置異常を伴う場合には、歯列矯正治療だけでは十分な治療結果を得られないと判断され外科的治療(手術)も必要な顎変形症と診断されます。

顎変形症と診断される可能性が高い歯並びとは

上下の咬み合わせが、全体・もしくは一部で反対になっている場合は、顎の骨のズレが大きく、顎変形症と診断される事が多い傾向にあります。

一方で、※アングルの不正咬合分類 Ⅰ級のケースで、交叉咬合等の異常がない場合に、顎変形症と診断される事は稀と考えます。

※アングルの分類とは、不正咬合を見極めるための指標となっており、Ⅰ級・Ⅱ級・Ⅲ級に分類されます。上下の第一大臼歯(親知らずを除いた奥から2番目の歯)の位置関係を基準とするため永久歯歯列での診断に用いられます。

アングルの分類
・Ⅰ級(classⅠ)・・・上下第一大臼歯の咬合関係が正常
・Ⅱ級(classⅡ)・・・下顎第一大臼歯が上顎第一大臼歯に対して遠心(後ろ)に位置している
  1類・・・上顎前歯の前突(唇側傾斜、いわゆる出っ歯)、口呼吸に関係がある
  2類・・・上顎前歯の後退(舌側傾斜)
・Ⅲ級(classⅢ)・・・下顎第一大臼歯が上顎第一大臼歯に対して近心(前)に位置している

不正咬合とは・・・上顎と下顎がずれている、歯並びが乱れているなど上下の歯の噛み合わせが合っていない状態のこと

交叉咬合とは・・・不正咬合の一種で、すれ違い咬合ともいわれ、上顎の歯よりも下顎の歯が外側に出ている噛み合わせの状態のこと

顎変形症と診断されると公的医療保険が適用されます

顎変形症と診断された場合には、しっかりと咬めない・発音がしっかりとできない等の機能障害を伴う病気として扱われるため、公的医療保険適用の治療が行われます。
顎変形症と診断された場合には、治療において手術前後の歯列矯正と外科手術(顎離断手術=骨を切る手術)が行われます。基本的に手術を伴わない顎変形症の治療はありません。

顎離断手術とは・・・全身麻酔を行い上顎もしくは下顎の顎の骨(上下顎両方の場合もある)を離断し、前後左右のバランスを整え再び接合する手術です。手術は主に口内法(口の中から手術)で行うので、顔に手術の痕が残ることはありません。
術前・術後を合わせて一般的に2~3週間の入院が必要となります。

また、公的医療保険が適用される矯正歯科治療を行うことができる医療機関は、厚生労働省が定める施設基準を満たしており、地方厚生局長に届出を出している保健医療機関のみになりますので、地方厚生局のホームページを参考にしてください。

地方厚生局ホームページ
・ホームページにアクセスし、「施設基準届出受理医療機関名簿」を入力し、検索
・歯科(PDF)を開き医療機関を探してください

ボーダーライン症例

わたしも多くの患者さんを診察していて、顎変形症と診断するべきか否か悩む症例に遭遇することが、多々あります。
診断に悩む方々には、顎変形症か否かを診断するために、精密検査を受けていただくことになります。
検査結果を分析して、手術併用の治療(顎変形症としての治療)か矯正治療のみによる治療かを判断します。
どちらの治療法でも対応可能な検査結果の患者さんの場合、二つの治療法を提示いたします。

手術を伴う治療法・伴わない治療法にはそれぞれ利点・欠点があります。これらの点を踏まえた上で、患者さんに治療法を提案し選択していただきます。

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