マウスピース矯正を失敗しないためにおさえておくべき3つのポイント

マウスピースの矯正を始めたはいいものの、決められた装着時間をなかなか守れず、噛み合わせや歯並びに少しずつ違和感が出てきたり、歯茎が下がっているように感じてきた……そんな悩みをお持ちの方も、いらっしゃるのではないでしょうか。

歯並びを改善するためには矯正治療が欠かせませんが、自分の矯正が失敗しているのではないか?と感じる患者さんもいることでしょう。ですが、そもそも「矯正治療の失敗」とはどのような状況を指すのかをご存じの方は、そう多くはないかもしれません。

今回は、マウスピース矯正における失敗の定義、原因、そして、矯正治療の失敗を防ぐための具体的な対処方法について、ご紹介していきます。

公開日:2021/07/19

監修医師

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。

マウスピース矯正用マウスピース

■目次

  1. 歯列矯正の失敗ってどういうことを指すの?
  2. これって失敗?マウスピース矯正中に気になる症状
  3. マウスピース矯正のトラブル要因
  4. マウスピース矯正を失敗しないために知っておきたい3つのポイント
  5. まとめ

歯列矯正の失敗ってどういうことを指すの?

歯列矯正の失敗で困っている

矯正治療には、治療前に担当医師との間で行ったカウンセリングや治療計画をもとに、治療のゴールのイメージの共有や、目標とする歯並びを決定します。治療後に目標とする歯並びにならなかった場合、歯列矯正は失敗となります。

また、矯正治療が終わった直後は問題のない仕上がりだったとしても、その後すぐに元の不揃いな歯列に戻ってしまった、いわゆる「後戻り」というケースも、矯正治療の失敗に分類されます。

加えて、歯列そのものに関する話だけではなく、治療期間が当初の予定よりも長引いてしまった時も、場合によっては失敗に含まれることがあります。

これって失敗?マウスピース矯正中に気になる症状

マウスピース矯正で失敗しているのか悩んでいる

1.噛み合わせが悪くなった・変わった気がする

マウスピースの装着時間が短い、治療計画と実際の治療状況に差異が生じ始めた、といった理由により、当初の想定よりも噛み合わせが変わった感じがする可能性があります。また、矯正治療の途中でマウスピースの厚みにより奥歯が沈み込む現象(圧下)が起こり、想定通りの噛み合わせにならないケースも存在します。

2.歯茎が下がってきた気がする

1の症状と同様にマウスピースの装着時間が短いケースや、治療計画との差異が生まれたケースに加えて、元々の骨の厚みが薄い患者さんの場合は、歯の移動により歯茎が下がることがあります。

3.顎に痛みがある

マウスピースは歯全体を覆う装置であるため、奥歯の噛み合わせにも影響を及ぼします。マウスピースには厚みがあるため、どうしてもマウスピースがない状態、すなわち患者さん本来の噛み合わせとは異なる状態で日常生活を過ごすことになります。

その影響で、マウスピースを入れたまま噛み締めると、顎の関節にかかる負担も平常時とは異なるものとなります。それにより、顎の痛みが生じたり、顎関節症を引き起こしてしまう場合があります。また、マウスピースの厚みによる奥歯の噛み合わせの変化によって、顎関節症を併発するケースも存在します。

マウスピース矯正のトラブル要因

マウスピース矯正を装着する女性

マウスピースの装着時間

マウスピースはワイヤーとは異なり、患者さんが自由に取り外しができる装置です。そのため、食事等のタイミングで外した際に再装着を忘れてしまったりして、マウスピースの装着時間が不足すると、当初の想定していた通りの歯並びにならない可能性が出てきます。

基本的には通院して担当医師に治療を任せるタイプのワイヤー矯正法とは違い、マウスピース矯正は患者さんの装着時間が非常に大切です。十分に装着時間を確保できるかどうかは、患者さんの意識、管理能力にかかっています。矯正を失敗に終わらせてしまうことがないよう、治療中は装着時間に十分気を配る必要があるでしょう。

歯並びが複雑(マウスピース矯正が向いていない)

治療前の患者さんの歯並びがでこぼこになっていたり、複雑な形状をしている場合は、改善するために様々な矯正器具を使います。マウスピースでは歯の複雑な移動や大きな移動が難しいため、適応しない症例もあります。

抜歯の有無

矯正治療を行うにあたって、抜歯するか否かの判断は非常に重要となります。マウスピース矯正は抜歯を伴わずに行うことが多いですが、無理に抜歯せずに治療を行ってしまったせいで、矯正が失敗してしまったというケースが存在します。ただ、それとは逆に、抜歯するべきではない歯を抜いてしまったがために、矯正治療の失敗につながってしまったというケースもあります。

マウスピース矯正を失敗しないために知っておきたい3つのポイント

歯の模型を用いてマウスピース矯正を説明している歯科医師

マウスピース矯正の装着時間、期間を守る

マウスピースは、治療期間の間に適切な装着時間を守って使用し続けなければ、十分な結果を生み出すことが難しい装置です。担当医師に指定された装着時間をしっかりと守り、ついうっかり装着を忘れてしまった……というケースが、極力少なくなるようにしていきましょう。

定期チェック(通院)は欠かさずに

前項の装着時間と同じく、こちらも患者さんの意識次第で、矯正治療の失敗の可能性を減らすことができる要素となります。主治医と定期的に相談を行ったうえで、実際の経過に応じてその都度治療の見通しを立てていき、適切なコミュニケーションを取って矯正を行えば、矯正治療の失敗の可能性は大きく減ることでしょう。

治療計画を立て納得してから治療開始を

矯正治療を担当する医師は、検査や治療を通じて患者さんの骨格をはじめとした各種のデータを確認し、それに基づいた治療計画を立てていきます。患者さん側が矯正治療に安易にゴーサインを出す前に、その治療計画について主治医により詳しく聞いたうえで、患者さんにとっても納得の行く治療計画が完成してから、治療開始へと踏み切ったほうがよいでしょう。

まとめ

マウスピース矯正で歯並びがキレイになり、喜んでいる女性

マウスピース矯正を成功させるためには、適切な治療計画と、患者さんの協力という2つの要素が不可欠です。すなわち、ご自身の管理能力が治療の成否に直結してくる、ということにもなります。

仮にマウスピースでの矯正が難しい状況であれば、ワイヤーを用いたブラケット矯正も視野に入れる必要があるでしょう。ご自身の歯並びや噛み合わせがマウスピース治療の適応範囲内であるか否かを判断するためにも、気になることがあったら歯科医師に相談し、より適切な治療を受けられるようにしていきましょう。

そういった意味でも、治療内容についてしっかりとした説明を受けたうえで、定期的に担当医師とコミュニケーションを取ることは非常に重要です。患者さん自身にとっても信頼できる治療計画のもとで、高いモチベーションを持って治療に取り組んでいくことが、矯正治療の失敗を減らすための、文字通りの第一歩となることでしょう。

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