前歯2番を抜歯!? 矯正治療で前歯を抜くことってあるの?

矯正治療では、歯並びや噛み合わせをよくするために歯を抜くことがあります。

調べてみると前から4番目や5番目の歯を抜くケースが多いですが、矯正歯科に行ってみたら「前歯2番を抜歯しましょう」といわれることがあるようです。

よくあるケースとは異なると不安になりますよね。
矯正治療で前歯2番を抜歯することは実際にあるのでしょうか?

公開日:2023/05/08

監修医師

記事監修:古川雄亮

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。
歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。
2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開

前歯2番 抜歯

■目次

  1. 前歯2番を抜くことはあるの?
  2. 前歯2番を抜いて抜歯矯正をする理由
  3. 前歯を抜いたら見た目が悪くなりそう…
  4. 3番目の歯を削って整える
  5. 被せ物をして見た目を整える
  6. 前歯2番を抜いて口の中は大丈夫?
  7. まとめ
  8. 記事監修

前歯2番を抜くことはあるの?

前歯2番とは、前から2番目の前歯のこと。
下の画像で、側切歯(そくせっし)と記載されている歯のことです。

前歯2番 抜歯矯正


矯正治療をする際、歯をきれいに並べるスペースが不足していると歯を抜いてスペースを作ることがあります。

スペースを作るための抜歯では、多くの場合は4番目(図:第一小臼歯)か5番目(図:第二小臼歯)を選ぶことが多いでしょう。

理由として、小臼歯は失ったとしても機能的な影響が少なく、前歯に比べて抜いた後の見た目の影響が少ないためです。

一方、前歯は食べ物を噛み切る機能があるため重要な歯であり、見た目にも大きく影響するため、矯正治療で抜歯することはあまり多くないといえるでしょう。

では、どのような理由があれば、前歯2番(側切歯)を抜くと診断されるのでしょうか?

前歯2番を抜いて抜歯矯正をする理由

前歯2番 抜歯矯正


例えば、前歯2番を重度な虫歯や歯周病になっている、歯の神経を取り除く治療を受けている、2番の歯の根っこを切除されているなど歯の予後が悪いと考えられる、小臼歯よりも優先的に抜歯をする可能性があります。

いくら今歯並びや噛み合わせを整えても、既に寿命が短くなっているのであれば将来的に抜歯が必要になる可能性が高く、矯正治療で歯並びや噛み合わせを整えるメリットが少なくなってしまうためです。

次に、前歯2番が歯列から大きくずれて生えている場合です。
大きな歯の移動は歯への負担も大きく、さらには矯正治療の期間も長くなってしまいます。

そのため無理に他の歯を抜いて前歯2番を歯並びに加えるよりも、前歯2番を抜歯して他の歯をきれいに並べることで、患者さんの負担を軽減することを優先するケースもあります。

次に、前歯2番が乳歯のままの場合です。
前歯2番の永久歯が先天的に欠損している場合、大人になっても乳歯のままのケースがあります。

乳歯は永久歯に比べて根っこが短く、さらに時が経つにつれて乳歯の根っこは吸収されていきます。長くても40歳ごろまでの寿命であるともいわれています。
矯正治療で歯を動かすとさらに歯の根の吸収が進む可能性もあり、寿命の短い乳歯を残して永久歯を抜歯するよりも、前歯2番の乳歯を抜く判断をすることがあります。

次に、既に片側の前歯2番を失っている場合です。
何らかの理由により左右どちらかの前歯2番を既に抜歯している場合、左右のバランスをとるための残っている前歯2番を抜歯することがあります。


前歯2番を抜くことは矯正治療としてあり得ないことではありません。
ですが、どうして前歯2番を抜くのか、抜いた後の見た目はどうなるのかをしっかり歯科医師と相談しておくほうがよさそうですね。

前歯を抜いたら見た目が悪くなりそう…

前歯2番 抜歯矯正


前歯2番は口を開いたときにとても目立つ位置にあるので、抜歯をすると見た目が悪くなるという懸念もあるのではないでしょうか?

抜歯した後に見た目を回復するための方法はいくつかあります。

3番目の歯を削って整える

前歯2番を抜くと、その1つ奥にある3番目の歯(犬歯)が前歯2番の位置に来ます。
そのため、3番の歯(犬歯)を削って前歯2番のような見た目に変え、違和感をなくす方法があります。

ただし、犬歯は噛み合わせにおいて重要な役割を担っているため、安易に削って見た目を整える方法には賛否があります。

被せ物をして見た目を整える

2番目の位置に動いた犬歯に被せ物をするという方法です。

被せ物を2番目の歯の形態にし、見た目を整えます。
被せ物もセラミックであれば天然歯のようにきれいな白い歯にできるため、見た目の違和感をなくすことができますよ。

前歯2番を抜いて口の中は大丈夫?

前歯2番 抜歯矯正


矯正治療で抜歯する歯は、一般的に4番、5番が多くなります。
にも関わらず、もし前歯2番を抜歯するとなると不安を感じるでしょう。

3番目の歯、つまり犬歯が2番目にくるように移動させる場合、見た目の修正や細かい噛み合わせの調整などを行う必要があります。

前歯2番を抜いたとしても、必ずしも噛み合わせに問題が生じるわけではありません。

まとめ

前歯2番 抜歯矯正


矯正治療において、前歯2番を抜歯するケースは十分にありえます。

その場合、2番目の前歯を抜いた後のスペースに隣の犬歯を移動させるため歯の形態を2番目の前歯の形に整える必要があります。
2番目の前歯を抜歯した後の見た目に不安がある場合は、歯科医師に相談して他の歯を抜歯する方法を検討してもらったり、抜歯をした後にどのように歯の形態を整えるか確認したりするとよいでしょう。

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