歯列矯正用のアンカースクリューとは?メリットや必要な人の特徴、費用を解説
「歯列矯正を受けたくて歯科医院に相談したら、アンカースクリューを利用する方法を勧められた。アンカースクリューはどういう治療法で、どんな目的やメリットがあるの?」 そんな疑問をお持ちの方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、アンカースクリューに関する基礎知識や仕組みに加えて、アンカースクリューの5つのメリット、3つのデメリット、アンカースクリューの注意点、アンカースクリューの必要例、治療費の目安などを解説します。
公開日:2026/04/14
監修医師
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。
目次
- 記事のポイント3つ
- 歯列矯正用のアンカースクリューとは?仕組みは?
- アンカースクリューは痛いの?
- 歯列矯正用のアンカースクリューの5つのメリット
- ①従来は難しかった歯の移動が可能になる
- ②治療期間を短縮できることがある
- ③外科手術の併用を回避するのに役立つ場合がある
- ④抜歯せずに矯正できる可能性が高まる
- ⑤負担の大きい矯正装置の使用を避けやすくなる
- 歯列矯正用のアンカースクリューの3つのデメリット
- 動揺・脱落する場合がある
- 歯根を傷つける恐れがある
- 破折することがある
- 歯列矯正用のアンカースクリューの注意点
- 歯列矯正用のアンカースクリューが必要な人
- 歯列矯正用のアンカースクリューの費用はいくら?
- アンカースクリューは公的医療保険適用になる?
- アンカースクリューの費用相場
- まとめ
記事のポイント3つ
・歯列矯正用のアンカースクリューとは、矯正治療の固定源として用いる小さなネジ
・従来の治療法とは異なるかたちで歯を動かせ、ガミースマイルなどの難しい症状への対応も可能
・治療期間を短縮できる、顎を動かす外科手術や抜歯を避けられる可能性があるなどのメリットがある
歯列矯正用のアンカースクリューとは?仕組みは?
歯列矯正用のアンカースクリューは、矯正治療のために開発された、チタン製の小型の医療用ねじです。
アンカースクリューを顎の骨に埋め込むことで、矯正治療で歯を動かす時に固定源となるため、動かしたい歯だけを効率よく動かせます。チタン合金は金属アレルギーを引き起こす心配が少なく、治療終了後に撤去できるので安全性に優れている点が強みです。
アンカースクリューは痛いの?
アンカースクリューを埋め込む際の手術ですが、局所麻酔をして、1本あたり5~15分前後と短時間で埋め込みが終了するため、個人差はあるものの基本的にほぼ痛みはありません。
しかし、麻酔が切れた後に痛みが出るケースもあるため、歯科医院で処方された痛み止めを服用するとよいでしょう。
アンカースクリューを入れた後、痛みを感じることは少ないですが、埋め込んでから1カ月ほどの期間は、アンカースクリューのヘッドにあたる部分が頬や舌などの柔らかい部分に接触して痛みが出るかもしれません。
歯列矯正用のアンカースクリューの5つのメリット
歯列矯正でアンカースクリューを利用するメリットは多いです。アンカースクリューの5つのメリットを紹介します。
①従来は難しかった歯の移動が可能になる
アンカースクリューを使用することで、奥歯を歯のない後ろ部分に移させたり、大臼歯を圧下する(あご骨の中に押し込む)など従来の治療法では難しかった歯の移動方法ができます。
また、アンカースクリューを用いた治療では多くの歯を同時に移動させることも可能となるため、その点も大きなメリットです。
②治療期間を短縮できることがある
アンカースクリューを用いた治療では、矯正治療時の歯の移動効率を高めます。歯の移動効率が良くなり治療期間を短縮させます。
③外科手術の併用を回避するのに役立つ場合がある
患者さんの顎の骨が大きく変形し、矯正治療だけでは噛み合わせが治せないと判断された場合、外科手術が求められることもあります。
アンカースクリューを用いて、外科手術なしで噛み合わせを治すケースもあるため、外科手術を受けたくない患者さんにとって手術を回避する有効な手段の一つとなります。
④抜歯せずに矯正できる可能性が高まる
アンカースクリューを用いた治療では、従来とは異なる歯の動かし方ができます。以前の治療法では抜歯を余儀なくされるような状態も、抜歯することなく矯正治療が可能なケースがあります。自分の歯を可能な限り残したい患者さんにとっても、アンカースクリューは魅力的な選択肢です。
⑤負担の大きい矯正装置の使用を避けやすくなる
矯正治療中に動かしたくない歯を動かさない(固定する)手段として、ヘッドギアなどの矯正装置を利用する方法があります(現在費用頻度は低いです)。
しかし、お口の外に装着するので、他の人から見て目立ちやすく、アンカースクリューに比べて固定の確実性も下がります。
アンカースクリューを使うことによって、負担が大きな矯正装置の使用を避けられる点も見逃せないポイントです。
歯列矯正用のアンカースクリューの3つのデメリット
アンカースクリューを利用し歯列矯正が容易になる点は多いですが、一方、デメリットもある点に注意が必要です。以下の3つのデメリットを紹介します。
動揺・脱落する場合がある
アンカースクリューを埋め込んだ後、アンカースクリューが動揺したり、抜け落ちてしまう可能性があります。埋め込む場所の骨の厚さが足りなかった、歯根に近い場所に埋めた、矯正の際に強い力がかかりすぎた、硬すぎるものを噛んだ、お口の中の衛生状態が悪かった場合、アンカースクリューの動揺・脱落を招く点に注意しましょう。
歯根を傷つける恐れがある
アンカースクリューを埋め入れた際に歯根を傷つける可能性があります。埋め込む部位や方向が適切でなかった場合に歯根を傷つけるリスクが高くなるため、レントゲン撮影(主にCT)でお口の中の状態を詳しく把握し、慎重な治療をする必要があります。
破折することがある
アンカースクリューを埋め込んだ後に破折リスクがあります。矯正力が強すぎる場合や、硬いものを噛んだ場合、アンカースクリューに大きな負荷がかかって破損する可能性が出てきます。
歯列矯正用のアンカースクリューの注意点
アンカースクリューを利用した矯正治療の注意点を解説します。
治療中におけるお口の中の衛生状態が良くない場合、アンカースクリュー周囲が細菌によって炎症を起こし、動揺や脱落につながる可能性があります。
また、必要以上に硬いものを噛んだり、手や指でアンカースクリューの埋入部分に触れた場合も、脱落などのリスクが高まります。
そのため、治療期間中は丁寧な歯磨きを行うことによって、お口の中を可能な限り清潔な状態に保つことを心がけ、埋め込んだ箇所には必要以上に触れないように意識しましょう。
歯列矯正用のアンカースクリューが必要な人
アンカースクリューは従来の治療法とは異なり、前歯全体を上方に引き上げることが可能です。そのため、笑った際に通常よりも歯茎が見える「ガミースマイル」と呼ばれる症状を治療する際に、非常に効果的です。出っ歯の症状が重い患者さんにも適しています。
アンカースクリューは奥歯よりも後方の歯茎に埋入することも可能であるため、奥歯を後方に動かさなければいけない症状にも対応できます。そのほか、特定の歯を動かさず固定する必要があるがヘッドギアは装着できない患者さんや、抜歯せずに矯正治療を行う必要がある患者さんにとって、アンカースクリューは適した治療法となります。
歯列矯正用のアンカースクリューの費用はいくら?
アンカースクリューは歯列矯正に用いる装置のため、利用する際に金銭負担が別途で必要です。
アンカースクリューは公的医療保険適用になる?
アンカースクリュー(矯正治療)は自由診療となるため、基本的に保険は適用されません。ただし、顎変形症の手術前後における矯正治療、厚生労働大臣が定める特定の疾患に起因した咬合異常(こうごういじょう)に対する矯正治療、前歯および小臼歯(しょうきゅうし)の永久歯のうち3本以上の萌出不全に起因する咬合異常のいずれかに該当する場合、保険を適用したうえで治療できます。
保険が適用されるかどうかは治療内容によって変わるため、上記条件に該当する可能性がある場合、あらかじめ担当医に確認することをおすすめします。
アンカースクリューの費用相場
アンカースクリューの必要金額は、クリニックによって大きく変わります。大まかな治療費の相場として、埋め込むアンカースクリュー1本につき、2~15万円前後が目安です。
ただし、アンカースクリュー単体に加えて、メンテナンス等の費用が追加で必要なケースもあるため、事前に全体の治療費を確認しておくことが大切です。
また、装置を紛失したり、装置が脱落してしまった場合、装置の再作製や再びスクリューを埋め込む追加費用などが生じ得る点にも注意が必要です。
2026年3月 株式会社メディカルネット調べ
まとめ
歯列矯正用のアンカースクリューとは、矯正治療の固定源として用いる小さなネジのことです。従来とは異なるかたちで歯を動かすことができる、治療期間が短縮される、外科手術や抜歯を避けられる、ヘッドギアなどの装置の使用を避けられるなど、メリットが多くあります。
一方、治療中に装置が動揺・脱落・破損する場合がある、歯根を傷つける恐れがあるといったデメリットもあります。アンカースクリューの利用に伴うメリット・デメリットをよく把握し、自分に合った治療法を選択しましょう。
あわせて読みたい記事
メディア運用会社について
株式会社メディカルネット(東証グロース上場)は、より良い歯科医療環境の実現を目指し、インターネットを活用したサービスの提供にとどまらず、歯科医療を取り巻く全ての需要に対して課題解決を行っています。
当サイト「矯正歯科ネット」を通して生活者に有益な医療情報を歯科治療の「理解」と「普及」をテーマに、自分に最適な歯科医院についての情報や、歯の基礎知識、矯正歯科などの専門治療の説明など、生活者にとって有益な情報の提供を目指しています。
矯正歯科歯科医院を探すなら「矯正歯科ネット」
矯正歯科治療を行なっている歯科医院を、全国から簡単に検索できます。お近くの矯正歯科歯科医院をお探しの場合にもぜひご活用ください。