ミツオさんの相談

カテゴリ:装置・治療法

矯正器具の取り付け方法

  • 投稿者 ミツオ さん [42才 男性 ] 2022/09/23/ 14:53
  • カテゴリー 部分矯正 装置・治療法 治療中
  • お悩みの歯 上あご右6番 上あご左1番 上あご左6番 上あご左7番

部分矯正を始めて、気になることがありまして投稿させていただきます。
私は親知らずは抜いており、1番奥の左7番が上下でくい違っています。下の歯を圧迫して痛みが出たため根本解決のため矯正を始めました。
現状は装置をつけ始めです。上顎の歯を調整するため、左右の6番にリングを付けてワイヤーで繋いだ上で、左の7番にリングを付けて、繋げています。
しかし、上顎の左右6番が内側に引っ張られて、更に左の1番を押しています。元々噛み合っていた歯なので噛む時など元の位置に戻ろうとして激痛が走ります。
若干内側に入っている歯でしたし、噛み合っていたので素人的には動かしたくない歯[特に関係ない右側や圧迫されている前歯]ですが、正しいのか判断できずにいます。
施工している医師に確認すると問題ないとの回答でしたが、私にはよく分からず不安で痛みがある状態です。
やり方が詳しくないのですが、これは一般的で問題ないものなのでしょうか?不安が拭えず投稿させていただきます。よろしくお願いします。

初めまして、マロニエ矯正歯科クリニックの栗田です。
ご質問にお答えします。

おそらく、左上の一番奥の歯が外側に飛び出して交叉咬合になっている状態で、
その部分を改善するために、上顎にトランスパラタルアーチを装着している状態、でしょうか。
部分矯正としてよくやる方法ですが、トランスパラタルアーチの装着状態が影響しているのでしょうか。

まず前提として、矯正治療は痛みが出るものです。
歯を動かす際には、動かす歯の周囲の歯槽骨を溶かし、隙間を作ってから動かします。
矯正器具を歯に装着し、歯に力をかけると、破骨細胞が集まってきて歯槽骨を溶かします。
すると歯が動き、歯がいたところに生じた隙間は骨芽細胞が骨を作ってくれて回復します。
矯正治療というのは、患者さん自身の骨の代謝を活かして、骨を壊したり作ったりしながら行います。
この破骨細胞が、骨を壊す際に発痛物質を生じるので、「歯が動くということは歯が痛いということ」になります。
特に何もしていない時は痛みませんが、歯と歯を咬み合わせて歯が沈み込む瞬間に痛みが出ます。
なので、咬む時に痛みが出る、というのは矯正治療中においてはある意味で正常と言えます。

部分矯正は実は全体矯正よりも難易度が高いので、決して簡単な治療ではありません。
歯は力をかければ動きますが、反作用で動かしたい歯以外の他の歯も動きます。
左上の7番を内側に動かす力の反作用を抑えるために、トランスパラタルアーチを装着しているのだと思いますが、
トランスパラタルアーチで反作用を抑えきれない場合に、他の歯へ影響を及ぼします。
なので、全く装置がついてない前歯に痛みが出ているのはそのためでしょう。
歯は隣の歯とくっついいているので、遠く離れた歯にも力が伝播します。
全体矯正であれば、すべての歯を自由に動かすことが出来ますし、反作用も解決できます。
反作用によって崩れてしまった歯並びなども、いくらでもリカバリー出来ますが、部分矯正ではできません。
歯を動かすのは簡単で、動かさないようにするのが難しいので、部分矯正の方が治しにくいのです。

トランスパラタルアーチの装着時に狙って力をかけている可能性もあれば、
装置の出来や調整に問題があり、本来かかってはいけない力がかかっている可能性もあります。
最終的に咬み合わせがおかしくならなければ、治療中に歯に痛みが出ても問題はありません。
現状では全体的な咬み合わせに変化が無いので、担当の先生は大丈夫と言っているのでしょう。
逆に、前述のように反作用のせいで最初よりも咬み合わせが悪くなる可能性もあり、
悪くなった咬み合わせを部分矯正では元に戻すことが出来ないので、注意が必要でしょう。

また、7番の咬み合わせがすれ違っているのを治しているのであれば、
内側に移動させようとする左上7番が左下の7番と干渉し、そこしか当たらない時期があるはずです。
そうなると、咬み合わせが安定しないことにより、歯ぎしりなどの癖が出やすくなります。
交叉咬合が改善し、干渉が無くなれば全体的に安定して咬むことが出来るようになり、歯ぎしりも消失するでしょう。
奥歯の部分矯正で前歯が痛い、というのは考えにくいことなので、
歯ぎしりでギリギリ顎を動かしているために、前歯がガンガン当たっている可能性が高いです。
治療途中の一時的な問題かもしれませんし、臼歯にバイトアップなどを施して干渉を取り除くことも可能です。
奥歯(6番)にレジンという樹脂を盛り、奥歯しか当たらない状況にすれば干渉も無くなりますし、
バイトアップされた状態で、顎を動かしても前歯が当たらないようにすれば前歯も痛みません。
バイトアップは違和感が強く、患者さんの負担も重たくなりますが、治療効率が上がり、早く治ります。
必要が無ければバイトアップはしませんが、質問者様はバイトアップした方が良い状況かもしれませんね。

咬む時だけ痛む、というのは矯正治療では当たり前のことであり、心配する必要はありません。
激痛というぐらいですから、矯正の力が強すぎるか、歯ぎしりが強いか、痛みを感じやすいかでしょう。
奥歯の交叉咬合だけ治せば他の咬み合わせがパーフェクトなのであれば、全体の咬み合わせが改善するでしょう。
交叉咬合をいたずらに治したことで、他の部分の咬み合わせが悪くなってしまう場合もあります。
それは元々の咬み合わせが完璧ではなかったということなので、左の奥歯は治ったけど他が咬まないとなったら、
その際には全体矯正治療への移行も検討した方が良いかもしれません。
交叉咬合は上「下」の歯の位置がずれて生じていることが多く、左下7番は内側に倒れていないでしょうか。
上7だけ治しても、下7が治っていなければうまく咬まない可能性も高いので、
もしかしたら下も動かすべきかもしれませんね。上下の歯が両方良い位置に来て初めてうまく咬み合います。
担当の先生とよく話し合いながら、治療を進めていきましょう。終了時に咬み合わせが悪ければ、その後を考えましょう。

以上を、ご質問への回答といたします。よろしくお願いいたします。
  • ミツオ(42歳 男性 )
  • 2022年09月29日02時35分
栗田様、回答ありがとうございます。不安があり、投稿させていただきますだきましたが、ここまでしっかりとした返事を良いただき大変有難く思います。

部分矯正の難しさについても医師の視点からの回答で納得ができました。大まかな技術的な話は知っていたつもりでしたが、詳しく説明して頂けて良かったです。反作用による影響が思っていたものより大きいことを痛感しました。関係ないと思っている右側や前歯にも影響が出るのは仕方の無い事なんですね。
現状は回答で頂いている通り左上7が外、下7が内向きで、上の歯が押し込むために痛みが出ていたのを根本解決する為に上下を噛み合せるために始めた矯正になります。噛み合っていない歯はこの2本だけでしたが、力が強いようで奥歯を数本割ってしまった経緯もあり、噛み合わせを修正し、力を分散させられればと思っておりました。
お話にあったように最終的に反作用による全体的な噛み合わせも含めて、医師と相談して最良の治療方針に辿りつければと思います。
理由やメカニズムが分かれば納得して治療を続けることが出来そうです。ありがとうございました。

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