形成外科医の父

私が尊敬する人は、台湾で形成外科医をしている父です。
私が幼い頃、父は大学の形成外科の教授をしていたため、毎日大学病院での臨床と研究で忙しく、一緒に遊んだ思い出はあまりありません。当時は父の仕事を直接目にする機会がなかったのですが、大学での仕事を終えて自宅に帰っても、深夜までコツコツ勉強している父をみて、ただただ「すごいなあ」と思っていました。
やがて父が50歳になり、形成外科医院を開業すると、父と過ごす時間がもう少し増えました。患者様により良い治療をするためにレーザー機器を台湾でいちはやく導入し、最新技術を取り入れる院長の父を頼って、遠方から患者様が来院する様子を遠くから見て、父への尊敬がさらに深まり、「自分も医療の道に進みたい！」という思いがつのりました。

「健康で機能的な美しさ」を目指すきっかけをくれた

形成外科は、事故や火傷、腫瘍摘出手術などで失われた体の一部や機能を、できるだけ元の状態に近づけられるように修復・再建する治療や、先天的な体の異常や変形を治療する診療科です。
体の機能を修復・改善させるだけでなく、手術の跡ができるだけ目立たないように処置したり、より自然な見た目になるように治療する医師の技術と感性・美的感覚が求められます。患者様の悩みやコンプレックスを受け止めて、治療後の生活習慣・環境に配慮した治療計画を立てる能力が必要なのです。

私が信条としている、「機能的で健康なことと、美しさを兼ね備えたトータル治療」は、父を姿を見て学んだことでもあります。父との数々の思い出・エピソードは一生の宝物です。

胸に刻んでいる父からのメッセージ

右の写真は、父が形成外科手術の模範症例集を出版したときに、書籍の裏に書いてくれたメッセージです。

「記住！病人的幸福快楽就是医師的幸福 （患者様の幸せと喜びはドクターの幸せと喜びである。）」
この言葉をいつも思いだし、胸に刻んで、毎日の診療にあたっています。